わたぼうしの趣旨

 近代化された社会生活の中で健常者はあふれるような情報に囲まれて生活をしています。余りの多さに選択がおぼつかぬ状況さえ存在します。しかし、その中で視覚に頼る情報は大変重要であり、時に命に関わることもあります。それに比較し、現在の社会において視覚障害者・他国語使用者の得られる情報はいかばかりでしょうか?方法としては朗読、点字・翻訳などがありますが、選択できるほどの量・質のものがあふれているとは到底思えません。また、健常者・障害者、他国語使用者にかかわらず皆、自分の生活を自立して過ごす権利があります。社会はその権利を守るため、選択できる情報を提供する義務があると思います。たくさんの情報の中で命に関わる医薬情報に関しても同様のことが言えます。必ずしも支援者が服薬時に一緒に居るとは限りません。しかし、これらの活動を全国の視覚障害者対象としたボランティアの協力の下に進めることは次の問題を生じます。一般のボランティアにとっては医療関連の活動は日常のものとは異なり危険を伴うため、さらに信用を要し、別世界と言う印象を持っています。そのため、一般のボランティア団体に とってはこの活動は必要性はわかっていながらなかなか踏み込めずにいる分野である事も事実です。それゆえ、“わたぼうし”の役割は医療現場のスタッフと福祉関連者との橋渡しをし、その情報伝達が居住する地域に関係なく、公平かつ円滑に行われるよう調整することにあります。
 現在、NPOわたぼうしの活動の拠点はインターネット上に在ります。(http://www.wataboushi.npo-jp.net/)薬袋項目の点訳タックシール製作、薬袋項目の母国語訳の収集、患者さんへの服薬指導書やその他の医療情報の点訳・音訳・拡大文字化などについて、全国にインターネットを通じて協力を求め活動しています。現在の主な活動は次の3つです。
 第一に患者さんに向け処方せん薬の服薬指導書を視覚障害に関係なく正確かつ公平に配信するべく、(株)じほうの協力の下、情報の加工と配信方法の模索。
 第二に薬袋の項目について点訳・翻訳をすることで誰もが正確かつ安全に薬が飲める様に情報を加工し、特に点字タックシール製作については“特定非営利活動法人まちづくり福祉ネット”との共同製作をし、医療スタッフに負担がかからない方法で提供する。
 第三に宇都宮ライトセンター(視覚障害者作業所)が名刺、その他の情報の点訳事業にパソコンを導入するため、事業推進における支援活動を行う。

 “わたぼうし”の活動は他国語使用者・視覚障害者自身の自立のための社会制度、社会環境を整えていくことです。そのためには行政・企業・一般の協力は必須です。その協力を呼びかける活動を今まで以上に継続かつ責任を持って行うため特定非営利活動法人として法人格を取得しました。これからも一層医薬情報を始めとする情報を公平かつ正確に伝達される様支援活動をしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。




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