香    港 1 感染症の流行状況  香港は衛生的な都市ですが、赤痢などの感染症や腸炎ビブリオ・サルモネラなどの食中毒、肝炎、寄生虫疾患が発生しています。  次のような病気がみられます。 食べ物・水から感染する病気 ○細菌性赤痢、アメーバ赤痢 ○食中毒 ○腸チフス、パラチフス ○ランブル鞭毛虫症 ○A型肝炎 ○寄生虫疾患 虫が媒介する病気 ○デング熱 ○日本脳炎      その他の疾患 ○B型肝炎 ○エイズ ○破傷風      香港は亜熱帯地域に属していますが、その気候はモンスーン性気候で、不明瞭な四季があります。秋は11〜12月で気温も18〜23℃で一年の内最も快適な気候です。1〜3月は短い冬で、平均気温は15℃で暖房が必要になる時があります。4〜10月がいわゆる夏にあたり、平均の気温も21〜28℃と高くなります。感染症は4〜12月にかけての時期に発生しており、特に赤痢や食中毒などの消化器系の感染症やA型肝炎の発生が多いようです。  その他、性病や寄生虫疾患は、特に季節的な変化はありません。  ◎1999年、全国の空港検疫所で香港から帰国した旅行者20名から食中毒菌が検出されています。また、2000年の感染症発生動向調査によると香港で感染した報告はありません(国立感染症研究所:感染症週報より)。   2 香港での病気の予防方法  香港には発生する感染症が少ないので、市内で観光しているだけであれば、食中毒などが流行する時期に食事などに注意し体調を整えておくだけでも、かなり病気の予防ができます。ただし、旅行中は、疲れや飲み過ぎ・食べ過ぎなど、知らない間に抵抗力が落ちるために病気にかかりやすくなります。  そこで病気を予防する上で注意が必要な食べ物と行動を紹介します。 1. 注意したい食べ物 ◎生 野 菜: 市場や屋台などで蠅がたかっているようなものは避けてください。赤痢、食中毒や寄生虫などに感染することがあります。 ◎生 も の: 赤痢や食中毒などが流行する時期(4〜12月)には、日本でも生ものを控えるように、香港でも刺身・寿司・生の貝などを食べるのは避けた方が安心です。この時期は屋台や不衛生な料理屋はもちろんのこと、一流レストランや高級ホテルであっても油断できません。食中毒やA型肝炎、赤痢や腸チフスに感染する危険があります。 ◎生 水・氷: 水道の設備は一応整っていますが、香港の水は硬水で軟質の水に慣れた日本人は下痢を起こす事がよくありますし、病原体やA型肝炎ウイルスに汚染されやすいので生水は避けてください。水が飲みたい人はミネラルウォーターやお湯(ボイルドウォーター)を注文してください。氷は生水から作られることが多いのでなるべく取らないこと。ウィスキーなどと一緒でも消毒効果はありません。 3 予防接種  入国時に要求される予防接種はありませんが、地方への旅行や長期滞在の場合には、一般にA型肝炎、破傷風、日本脳炎などの予防接種が勧められます。予防接種は、これまでの予防接種歴、滞在期間、旅行形態、出発までの期間でかわりますので、詳しいことはお近くの検疫所に問い合わせてください。 4 マラリア情報( WHO INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH 2001)  ほとんどの地域で、マラリアの危険はないと考えられています。 海外保健医療情報 1 病気になった時 (1)処置  香港で流行している病気は、日本とはあまり違いはなく食中毒やまれに赤痢やチフスが報告される程度です。しかし、病気によっては、治療が遅れることで取返しがつかなくなる場合(寄生虫疾患やA型肝炎など)もありますので、具合が悪いからといってすぐに薬で抑え込もうとする素人療法は避け、現地の信頼のおける病院で診察を受けた方が良いでしょう。  ただし、症状が激しい時、一時的に日本より持参した市販薬を使用するのは差支えありませんが、安易な抗生物質の乱用は効果のない場合、逆に悪化することがありますので慎むべきでしょう。 (2)香港の医療機関  医療機関は整備されており、特に技術的なレベルを心配する必要はなく一流の病院では安心して診療を受けられます。また、ホテルでは通常、ホテルドクタ−や医師のリストなどを用意してあるのでホテルを通じて診察を受けることもできます。  しかし、病院の中には設備も整っていないものや訳の分からない漢方などを売り物にする病院があります。少し具合が悪いからと言って、このような病院にはかからないようにしましょう。なお、日本と違い健康保険が利用できませんので外国人を対象にした病院では、風邪や腹痛でも数千円から数万円請求されることがあります。できれば海外旅行傷害保険に加入することをお勧めします。  香港では、薬は比較的自由に購入できますが、管理の悪い薬局では粗悪品もありますので、信頼のおける薬局で購入してください。  以下、日本人旅行者が利用しやすい病院を紹介します。 香港島 Queen Elizabeth Hospital: 私立総合病院 (TEL2710-2111) 救急あり 港安病院: 私立総合病院 (TEL 2574-6211) 日本語可、救急あり 養和医院: 私立総合病院 (TEL 2572-0211) 救急あり 聖保禄医院: 私立総合病院 (TEL 2790-6008,2576-1301) 救急あり Dr. Choy: 個人開業医 内科 (TEL 2522-1552,2525-0763) 日本語可 李  福権: 個人開業医 内科 (TEL 2522-6744) Dr. Chow: 個人開業医 内科 (TEL 2577-7188,2566-4017) 曹 世植: 個人開業医 内科 (TEL 2523-8248) 日本語可、予約制 Dr. Chan: 個人開業医 小児科 (TEL 2522-2302) 日本語可 池 元輝: 個人開業医 内科 (TEL 2795-5833) 九龍島 法国医院(聖徳助撤医院): 私立総合病院 (TEL 2795-5833) 救急あり 浸信会医院: 私立総合病院 (TEL 2337-4141) Dr. Nagai: 個人開業医 内科 (TEL 2366-3622) 鮑 永耀: 個人開業医 内科 (TEL 2331-3311,2331-7406) Dr. Wong: 個人開業医 内科 (TEL 2367-8222) マカオ Govt. Health Center: 公立総合病院 (TEL 257-3366) 救急あり Hospital Kiang Vu: 私立総合病院 (TEL 27-8311) 救急あり 参 考 在香港日本総領事館: Consulate-General of Japan,46th &47th Floors, One Exchange Square,8 Connaught Place, Central, Hong Kong. (香港中環康楽廣場8號交易廣場第一座46樓及47樓) TEL (852)25221184〜8 http://www.japan.org.hk/ (英・日・繁) 緊急サービス 局番なし 999 (英語、広東語) 救 急 車 :香港島 (TEL 2-21177)   :九龍島 (TEL 5-21111)   :新界地区 (TEL 2098-1387) 香港観光協会 :(TEL 2807-6188) 日本語サービス有り 2 帰ってからの過ごし方  帰国して最初に受けるのは検疫です。滞在先で下痢、腹痛、発熱など体に異常があれば健康相談室で相談してください。赤痢やコレラでも軽い症状ですんでしまうことが多いのですが、感染力は思ったより強いので、自分で大丈夫と思っていても家族や会社の人に感染することもありますので・・・・。  また、潜伏期間といって感染してから一定の期間がたたないと発病しない病気が数多くあります。検疫時は何ともなかったのに数日してから症状が出ることがあり、その時(症状が出た時)には、速やかに医師の診察を受けましょう。診察を受ける際には滞在した国と期間、蚊やノミ、ダニに刺されていたらそのことや、食べたものについても説明されると診断の役に立ちます。 帰国時に体に異常があればお気軽に健康相談室で相談してください。 厚生労働省 検疫所 2001