ブ ル ネ イ 1 感染症の流行状況  ブルネイは、他の東南アジア諸国と比較しても衛生環境は良いとされており、特に目立つ感染症の発生報告はありませんが、隣接するマレ−シアでは、マラリアや肝炎などが流行しているために注意が必要です。  ブルネイで感染のおそれのある病気は、おおむね次のとおりです。 食べ物・水から感染する病気 ○食中毒 ○細菌性赤痢、アメーバ赤痢 ○ランブル鞭毛虫症 ○A型肝炎 ○腸チフス、パラチフス ○寄生虫疾患 虫が媒介する病気 ○デング熱 ○日本脳炎      その他の疾患 ○B型肝炎 ○破傷風 ○エイズ      消化器系疾患については、季節に関係なく発生していますが、その数はわずかです。その他の疾患の中で注意しなければならないのはウイルス性肝炎ですが、これも多くはありません。しかし、熱帯・亜熱帯地域特有の病気であるマラリアやデング熱の流行はないと報告されていますが、マレーシアに隣接する山岳・森林地帯では感染の危険性は否定できません。そのため、このような場所に行かれる旅行者は充分な注意が必要です。破傷風は季節にかかわらず発生の報告はありますが、これも多くはありません。その他、日本ではあまり聞かれなくなった寄生虫疾患もわずかですが報告されています。一般の観光地やリゾート地で過ごす場合には、消化器系疾患以外は特に気を付ける必要はありません。 ◎1999年、全国の空港検疫所でブルネイから帰国した旅行者からの病原菌の検出はありませんが、1997年に1名の食中毒菌が検出されています。また、2000年の感染症発生動向調査によるとブルネイで感染した報告はありません(国立感染症研究所:感染症週報より)。  2 ブルネイでの病気の予防方法  様々な感染症や風土病がありますが、都市やリゾートで観光しているだけであれば、危険なのは食中毒などの下痢症だけなので体調を整えておくだけで病気が予防できます。ただ、旅行に出かけると、どうしても疲れや飲み過ぎ、食べ過ぎで知らない間に抵抗力が落ちてしまいます。このような場合、病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。  そこで病気を予防する上での注意事項を紹介します。 1. 注意したい食べ物 ◎生 野 菜: 市場や屋台で蠅がたかっているようなものは避けてください。赤痢、食中毒、寄生虫の心配があります。(肥料に人糞を使っている所があります) ◎乳 製 品: ヨーグルト・アイスクリームなどの乳製品には細菌が発育しやすい成分が多く入っており、衛生状態の悪い屋台などの乳製品は要注意です。食中毒菌に感染する恐れがあります。 ◎生 も の: 日本の食習慣のように刺身や生ウニなどの生ものを食べるのは、あまり感心しません。衛生状態の悪い店では新鮮でも食中毒菌に感染することがあります。 ◎生 水・氷: 一応、水道の設備はありますが、衛生的に問題が多いので生水は飲まない方が無難です。水が欲しい時はミネラルウォーターかボイルドウォーターにしましょう。また、氷は生水から作られることが多いのでなるべく取らないこと。ウィスキーなどと一緒でも消毒効果はありません。 ◎貝  類: 近海で採れる貝類の中には煮沸しても消えない毒(麻痺性貝毒・下痢性貝毒)を持っている物が多いので避けた方が良いでしょう。 * 注意しなければならない"虫"  直接、病気と関係はありませんが、海岸ではサンド・フライと呼ばれる胡麻粒大の虫が多いので注意が必要です。この虫に刺されると非常に痒く、体質によっては数か月間も化膿することがあります。海岸部で遊ぶ時には防虫スプレーが必要です。  その他、特に注意すべき行動はありませんが"蚊"には注意してください。蚊は様々な病気(例えば糸状虫など)を媒介する、厄介な昆虫であることを忘れずに・・・。 3 予防接種  旅行経路(出発国)によっては、入国時に黄熱の予防接種が要求されます。また、一般にA型肝炎、破傷風、日本脳炎、狂犬病などの予防接種が勧められます。予防接種は、これまでの予防接種歴、滞在期間、旅行形態、出発までの期間でかわりますので、詳しいことはお近くの検疫所に問い合わせてください。 4 マラリア情報( WHO INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH 2001)  ほとんどの地域で、マラリアの危険はないと考えられています。 海外保健医療情報 1 病気になった時 (1)処置  ブルネイは衛生状態の良い国ですので、食中毒、ウイルス性肝炎、熱帯・亜熱帯地域特有の感染症であるデング熱などがわずかに発生している程度ですが、日本にない病気もあり抗生剤の乱用などの素人療法で逆に治療が遅れ、取り返しがつかなくなる場合もあります。一時的に日本より持参した市販薬を使用するのは差し支えありませんが、体調に異常がある方は速やかに現地の病院を受診してください。 (2)ブルネイ国内の医療機関  ブルネイの首都であるバンダル・スリ・ブガワンには日本の大学病院と同じ医療設備を持つ国立総合病院があり、設備に関しては全く心配はありません。しかし、医療水準は設備の割りにはあまり高くはないので軽度の病気であれば問題はありませんが、重症や手術が必要な場合にはシンガポ−ルへ移送するか、日本に帰国して治療を受けたほうが良いと思われます。  また、日本語で受診できる病院はありませんので、言葉の問題からくる手違いも時として起こりますので注意が必要です。その他、一流のホテルでは、専従の医師あるいは医師の紹介をしている場合があるので診察や往診を頼むこともできます。  なお、日本と違い健康保険がききませんが、国立病院などでは医療費は一切無料となっています。しかし、外国人旅行者にこの優遇措置が適用されるかどうかは不明です。  また、重症や難しい手術を要する場合には医療先進地域(シンガポ−ルなど)へ移送される場合(移送費などは本人負担)がありますので、できれば海外旅行傷害保険に加入することをお勧めします。 以下、日本人旅行者が利用しやすい病院を紹介します。 [総合病院] バンダル・スリ・ブガワン地区 Raja Isteri Pengiran Anak Saleha 国立総合病院(TEL 242424) クアラ・ブライト地区 Suri Seri Begawan 総合病院 (TEL 35331) トゥトン地区 Tutong 総合病院 (TEL 21011) トゥンブロン地区 Pengiran Isteri Hajjah Mariam 総合病院 (TEL 21526) [私立病院・診療所] バンダル・スリ・ブガワン地区 Dr. Ramlii's Clinic 内科 (TEL 446771)診療時間:(月〜土 08:00〜12:30,13:30〜17:00) Katong Clinic 内科他 (TEL 428715)診療時間:(月〜日 24時間) 救急病院 Hart-Medical Clinic 内科 (TEL 225531)診療時間:(月〜木、土、 07:30〜12:00, 14:00〜17:00) 参 考 在ブルネイ日本大使館: Embassy of Japan,House No.33, Simpang 122, Kampong Kiulap, Bandar Seri Begawan BE1518, Negara Brunei Darussalam TEL (673-2)229265 クアラ・ブライト地区 ムアラ地区 セリア地区 警 察  TEL 32333 警 察  TEL 72333 警 察  TEL 22333 消防署  TEL 32555 消防署  TEL 72555 消防署  TEL 22555 救急車  TEL 32366 救急車  TEL 22366 救急車  TEL 32366 番号案内 TEL 13 番号案内 TEL 13 番号案内 TEL 13 ツトン地区 バンダル・スリ・ブガワン地区 警 察  TEL 21333 警 察 TEL 22333 消防署  TEL 21355 消防署 TEL 22555 救急車  TEL 21366 救急車 TEL 22366 番号案内 TEL 13 番号案内 TEL 13 2 帰ってからの過ごし方  帰国して最初に受けるのは検疫です。滞在先で下痢、腹痛、発熱など体に異常があれば健康相談室で相談してください。赤痢やコレラでも軽い症状ですんでしまうことがありますが、感染力は思ったより強く、自己判断で大丈夫と思っていても家族や会社の人に感染することもありますので・・・・。  また、潜伏期間といって感染してから一定の期間たたないと発病しない病気が数多くあります。検疫時は何ともなかったのに数日してから症状が出ることがあり、その時(症状が出た時)には、速やかに医師の診察を受けましょう。診察を受ける際には滞在した国と期間、蚊やノミ、ダニに刺されていたらそのことや、食べたものについても説明されると診断の役に立ちます。 帰国時に体に異常があればお気軽に検疫所へ相談してください。 厚生労働省 検疫所 2001