フ ィ リ ピ ン 1 感染症の流行状況  フィリピンでは、コレラ、赤痢、腸チフスや肝炎などがよくみられます。マラリア、デング熱、日本脳炎など蚊によって感染する病気も発生します。  フィリピンでは次のような病気がみられます。 食べ物・水から感染する病気 ○細菌性赤痢、アメーバ赤痢 ○A型・E型肝炎 ○コレラ ○食中毒 ○腸チフス、パラチフス ○寄生虫疾患 虫が媒介する病気 ○マラリア ○デング熱 ○日本脳炎 ○フィラリア症 ○リーシュマニア症 その他の疾患 ○B型肝炎 ○狂犬病 ○エイズ ○破傷風    フィリピンは、多くの島々で構成されているため、その気候も一様ではありませんが、基本的には熱帯性モンスーン気候に属し、雨季と乾季に分かれます。しかし、島によってはこの雨季と乾季の差が明瞭でないもの、あるいは、ほとんどないものがあります。 そのため、流行する感染症も赤痢やコレラなどの消化器系感染症は、特に季節的な変動がなく発生していますし、熱帯・亜熱帯地域特有の病気であるマラリアは森林地帯や農村部ではほぼ一年中発生しています。 ◎1999年、全国の空港検疫所でフィリピンから帰国した旅行者3名からコレラ菌、3名から赤痢菌が検出され、食中毒菌も139名が報告されています。また、2000年の感染症発生動向調査によると国内でフィリピンから帰国した旅行者からコレラ患者8名、赤痢患者21名、腸チフス患者1名、パラチフス患者1名、A型肝炎患者1名、デング熱患者1名が報告されています(国立感染症研究所:感染症週報より)。 2 フィリピンでの病気の予防方法 フィリピンには様々な感染症や風土病がありますが、都市やリゾート地の観光程度であれば食べ物や飲み物に注意し、体調を整えておくだけでかなりの病気が予防できます。旅行に出かけると、飲み過ぎ食べ過ぎ、旅の疲れで気付かない間に抵抗力が落ちてしまいがちですが、このような場合、病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。 そこで病気を予防する上で注意が必要な食べ物と行動を紹介します。 1. 注意したい食べ物 ◎ハロハロ: 果物、氷、牛乳で作ったデザート。ホテルやレストランで出されるものであれば問題ありませんが、不衛生な屋台などのものは注意が必要です。 ◎生 野 菜: 市場や屋台で蠅がたかっているようなものは避けてください。赤痢、食中毒あるいは寄生虫の心配があります。 ◎アイスクリーム : フィリピンのアイスクリームは美味しいと言われていますが、不衛生な屋台などで出されたもので下痢した人がおり、赤痢や食中毒の心配があります。なお、冷凍されたものでも細菌は死にません。 ◎果実とジュース : カットされて出される果物は、ホテルやレストランでも避けるほうが無難です(自分でむいた果物は大丈夫)。また、不衛生な露店や屋台で切売りされている果物はちょっと危険です。赤痢や食中毒の心配があります。 ◎生 も の: 日本の食習慣をそのままに現地に持ち込んで刺身・生の貝などを食べるのは、たとえ一流レストランや高級ホテルであっても非常に危険です。新鮮に見えても食中毒菌、コレラ、A型肝炎に感染することがあります。キニラウ(魚介類のたたき)も危険です。ご注意を! ◎生水・氷: 都市での水道設備は整っており、おおよそ80%は安全です。しかし、どの水が安全か、旅行者はわからないので、飲まないのが賢明でしょう。また、日本とことなりフィリピンの水は、若干、硬質なので、いわゆる"水が合わない"ために一時的に下痢することがよくあります。地方では井戸水が多いので、飲用に適していないようです。どうしても水が欲しい時はミネラルウォーターやボイルドウォーターと言って注文することです。また、氷は生水から作られることが多いのでなるべく取らないこと。ウィスキーなどと一緒でも消毒効果はありません。 ◎ドリアンとビール : 病気ではありませんが、この食べ合せをすると死ぬと言われています。実際、死に至ることはないと思いますが、かなり重症になることは現実にあるようです。 2 注意したいこと ◎野    犬: 狂犬病が多く発生しておりますので、むやみに犬に手を出すのは危険です。万一噛まれたら、病院で狂犬病ワクチン接種を! ◎夜の遊びすぎ: フィリピンでもエイズは報告されています。感染者はかなりの数であると言われていますので安易な"遊び"は、禁物です。『自分だけは大丈夫』と考えがちですが、1度で感染する事もあることをお忘れなく。 3 予防接種  旅行経路(出発国)によっては、入国時に黄熱の予防接種が要求されます。また、一般にA型肝炎、破傷風、日本脳炎、狂犬病などの予防接種が勧められます。予防接種は、これまでの予防接種歴、滞在期間、旅行形態、出発までの期間でかわりますので、詳しいことはお近くの検疫所に問い合わせてください。 4 マラリア情報  首都マニラとBohol, Catanduanes, Cebu の各島を除く、標高600m以下の地域に年間を通して存在しています。 Aklan,Biliran,Camiguin,Capiz,Guimaras,Iloilo,Leyte del Sur, Northern SamarおよびSequijor州では感染の危険性は低く、都市部や平野部では感染の危険性はありません。予防薬として、流行地域ではクロロキンとプログアニールの併用が有効ですが、服用については副作用などに注意が必要です クロロキン/商品名:アラレン(Aralen)、アブロクロール(Avloclor)、ニバキン(Nivaquine)、レゾシン(Resochin)など。プログアニール(Proguanil)商品名:パルドリン(Paludrine) 海外保健医療情報 1 病気になった時 (1)処置  フィリピンは一般に衛生状態が悪く、流行する感染症も、コレラ、赤痢、腸チフス、マラリア、デング熱、寄生虫疾患など非常に多く発生しています。  日本にない病気もあり、抗生剤の乱用などの素人療法で逆に治療が遅れ、取り返しがつかなくなる危険があります。一時的に日本より持参した市販薬を使用するのは差し支えありませんが、体調に異常がある方は速やかに現地の病院を受診してください。 (2)国内の医療機関  大都市では医療機関は整備されており、特に技術的なレベルを心配する必要はなく一流の病院では安心して診療を受けられます。ただし、国公立病院は料金が安いため、待ち時間が長く、在フィリピン邦人は私立病院へ行くケースが多いようです。また、一流のホテルでは専従の医師がいる場合や医師の紹介をしてくれるため、利用されると良いでしょう。  なお、日本と違い健康保険がききませんので外国人を対象にした病院では風邪でも数千円から一万数千円請求されることがあります。 フィリピン観光省は旅行者のために緊急アシスタント、通訳、紛失、観光案内などのサービスをおこなっています。  (TEL 50-1660/50-1728) 以下、日本人旅行者が利用しやすい病院を紹介します。 マニラ MANILA Manila Japanese Club Clinic (マニラ日本人会付属診療所) 一般内科(TEL 818-0880、819-2762) 日本語可 住所:2nd Floor.Jaycem Bldg.,104 Rada St.,Legaspi Village,Makati City Makati Medical Center(MMC): 私立総合病院(TEL 815-9911) MMCとSLMCはフィリピンで最高水準の病院、診察料は高い。 住所:De la Rosa St.,Legaspi Village, Makati City St. Luke's Medical Center(SLMC): 私立総合病院   (TEL 723-0101)  住所:279 E. Rodriguez Sr. Blvd., Queson City. 小児科 :日本人の対応に慣れている。            :Dr.Macapanpan  TEL 818-0142,892-5906〜8 住所:3F Kalayaan Bldg., Salcedo St., Cor. De la Rosa St.,Makati City (MMC裏のビル)   :Dr. Maria Posadas Clinic TEL 815-9911(ext.2379) 住所:マカティ・メディカルセンター内、379号室 Philippine General Hospital: 公立総合病院 (TEL 59-6061)救急有 United Docters Medical Center(UDMC): 私立総合病院 (TEL 712-3273)救急有 日本人医師直通 (TEL 711-352) 住所:6N.Ramirez St.,Quezon City. Manila Doctor's Hospital: 私立総合病院 (TEL 50-3011) ケソン・シティ QUEZON CITY Quezon City Medical Center : 公立総合病院 (TEL 921-3451 ) De Los Santos Medical Center: 公立総合病院 (TEL 78-7011 ) パサイ Hospital de San Juan de Dios: 総合 (TEL 831-9731 ) 参 考 在フィリピン日本大使館: Embassy of Japan, 2627 Roxas Boulevard, Pasay City,Metro Manila, 1300, Philippines. TEL (63-2)551-5710 http://www.mofa.go.jp/mofaj/link/kokan/a_phil/ (日) 在マニラ日本総領事館: 事務所は、在フィリピン大使館と同じ。 在ダバオ出張駐在: Consular Office of Japan in Davao, Suite B305 3rd Floor, Plaza de Luisa Complex,140R. Magsaysay Ave., Davao City 8000, Philippines.(P.O. Box No. 80637) TEL (63-82)221-3100 マ ニ ラ 警 察(TEL 59-9011) (緊急)(TEL 7575) 消 防 (TEL 58-1176) パ サ イ 警 察 (緊急)(TEL 7575) 消 防 (TEL 8318856) メトロマニラ 警 察 (緊急) 166    マ カ ティ 警 察(TEL 816-0495) (緊急)(TEL 7575) 消 防 (TEL 8162553) ケソン・シティ  警 察 (緊急)7575  消 防 (TEL 99-8363) 2 帰ってからの過ごし方  帰国して最初に受けるのは検疫です。滞在先で下痢、腹痛、発熱など体に異常があれば健康相談室で相談してください。最近では、赤痢やコレラでも軽い症状で済んでしまうことが多いのですが、感染力は思ったより強いので、自己判断で大丈夫と思っていても家族や会社の人に感染することもありますので・・・・。  また、潜伏期間といって感染してから一定の期間たたないと発病しない病気が数多くあります。検疫時は何ともなかったのに数日してから症状が出ることがあり、その時(症状が出た時)には、速やかに医師の診察を受けましょう。診察を受ける際には滞在した国と期間、蚊やノミ、ダニに刺されていたらそのことや、食べたものについても説明されると診断の役に立ちます。 帰国時に体に異常があればお気軽に検疫所へ相談してください。 厚生労働省 検疫所 2001