イ ン ド ネ シ ア 1 感染症の流行状況  インドネシアでは、コレラ、赤痢、腸チフスや肝炎などがよくみられます。マラリア、デング熱、日本脳炎など蚊によって感染する病気も発生します。  インドネシアでは次のような病気がみられます。 食べ物・水から感染する病気 ○細菌性赤痢、アメーバ赤痢 ○A型・E型肝炎 ○コレラ ○食中毒 ○寄生虫疾患 ○腸チフス、パラチフス 虫が媒介する病気 ○マラリア ○デング熱 ○日本脳炎 ○フィラリア症 ○リーシュマニア症   その他の疾患 ○B型肝炎 ○狂犬病 ○エイズ ○破傷風    インドネシアは、海洋性熱帯気候に属し、雨季(10〜3月)乾季(4〜9月)に区別されます。そのため、消化器系疾患については、雨季にやや多く発生する傾向があるものの、それほど大きな季節的な変動はなく、乾季でも発生することがあります。その他、熱帯・亜熱帯地域特有の病気であるマラリアも森林地帯や農村部では、ほぼ一年中発生しています。1998年1月から5月までにデング熱患者32,665名、777名の死者がWHOに報告されています。(WER,1998,NO.25,P186)また、破傷風、肝炎、エイズを含む性病は季節に関係なく流行していますが発生数はあまり多くはありません。その他、日本ではあまり聞かれなくなった寄生虫疾患も報告されています。 ◎1999年、全国の空港検疫所でインドネシアから帰国した旅行者55名から赤痢菌、食中毒菌も388名検出されています。また、2000年の感染症発生動向調査によると国内でインドネシアから帰国した旅行者からコレラ患者7名、赤痢患者88名、腸チフス患者11名、パラチフス患者2名、熱帯熱マラリア患者5名、三日熱マラリア患者4名、デング熱患者2名が報告されています(国立感染症研究所:感染症週報より)。 2 インドネシアでの病気の予防方法  様々な感染症や風土病がありますが都市やリゾート地で観光しているだけであれば、危険なのは食中毒などの下痢症だけなので体調を整えておくだけで病気が予防できます。ただ、旅行に出かけると疲れや暴飲暴食の結果、知らない間に抵抗力が落ちてしまいます。このような場合、病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。また、バリやジャワの都市部やリゾート地以外に行く場合にはマラリアにも注意しましょう。  そこで病気を予防する上で注意が必要な食べ物と行動を紹介します。  注意したい食べ物 ◎生 野 菜: 短期の旅行ではホテルや一流レストランでも避ける方が無難です。屋台などで蠅がたかっているようなものは避けてください。赤痢、食中毒、肝炎、寄生虫などの心配があります。 ◎果実とジュース: カットされて出される果物はホテルやレストラでも避ける方が無難です(自分でむいた果物はOK)。また、露店や屋台で切り売りされている果物やジュースも赤痢や食中毒の心配があります。 ◎生 も の: 日本の食習慣をそのままに、刺身・生カキなど生ものを食べるのは、例え一流レストランや高級ホテルであっても油断できません。新鮮に見えても食中毒菌やコレラに感染することがあります。 ◎ロブスター: インドネシア名物で、これを目的にインドネシアに旅行される方もいるぐらい安くて美味しいと言われていますが、以前、生焼けのロブスターが原因と思われるコレラの集団発生がありました。ロブスターやエビの生焼けにはご注意を・・・。生ウニもダメです! ◎生水・氷: 最近では水道設備が整備され、危険性は少なくなりましたが、水質は硬質で軟質に慣れた日本人では下痢をおこすことがよくあります。また、病原菌や肝炎ウイルスに汚染されることもないとはいえませんので、生水は避けたほうが無難でしょう。どうしても水が飲みたい方は、ミネラルウォーターやボイルドウォーターを注文しましょう。また、氷は生水から作られることが多いのでなるべく取らないこと。ウィスキーと一緒でも消毒効果はありません。 ◎ドリアンとビール : 病気ではありませんが、この食べ合せをすると死ぬといわれています。実際、死に至ることはないと思いますが、かなり重症になることは現実にあるようです。 * 注意したいこと ◎野犬や猫: 狂犬病が少数ですが発生しておりますので、むやみに犬に手を出すのは危険です。また、野犬などの動物にかまれたら、すぐに信頼できる病院で、狂犬病発病予防のためのワクチンを接種しましょう。 ◎夜遊び: インドネシアでもエイズは報告されています。患者数は多くありませんが感染者はかなりの数であるといわれていますので安易な"遊び"は禁物です。『自分だけは大丈夫』と考えがちですが、1度で感染する事もあることをお忘れなく。 3 予防接種  旅行経路(出発国)によっては、入国時に黄熱の予防接種が要求されます。また、一般にA型肝炎、破傷風、日本脳炎、狂犬病などの予防接種が勧められます。予防接種は、これまでの予防接種歴、滞在期間、旅行形態、出発までの期間でかわりますので、詳しいことはお近くの検疫所に問い合わせてください。 4 マラリア情報 (WHO INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH 2001)  ジャカルタなどの大都市、ジャワ、バリの主なリゾート地を除いて全土に年間を通して存在しています。予防薬としては、クロロキンとプログアニール(Proguanil)併用が、イリアンジャヤではメフロキン(Mefloquine)が有効ですが、服用については副作用などに注意が必要です。  クロロキン/商品名:アラレン(Aralen)、アブロクロール(Avloclor)、ニバキン(nivaquine)、レゾシン(Resochin)など、 プログアニール/商品名:バルドリン(Paiudrine) メフロキン/商品名:ラリアン(Lariane)、メファキン(Mephaquin)など。 海外保健医療情報 1 病気になった時 1. 処置  インドネシアで流行している病気は、コレラや細菌性赤痢、アメ−バ赤痢、食中毒のような消化器系感染症の他、局地的に熱帯・亜熱帯地域特有の感染症であるマラリアやデング熱などがあります。日本にない病気もあり、抗生剤の乱用などの素人療法で逆に治療が遅れ、取り返しがつかなくなる危険があります。一時的に日本より持参した市販薬を使用するのは差し支えありませんが、体調に異常がある方は速やかに現地の病院を受診してください。 (2)インドネシア国内の医療機関  インドネシアでは医療機関が整備されており、特に都市の病院では、技術的なレベルを心配する必要はなく安心して診療を受けられます。ただし、日本と違い国公立病院より私立病院の方が設備や技術が確かですので、在インドネシア邦人は私立病院へ行くケ−スが多いようです。また、インドネシアの医師は夕方まで総合病院に勤務し、その後は個人開業する場合が多いことを覚えておいてください(予約が必要)。  なお、一流のホテルでは 専従の医師あるいは医師の紹介をしているので利用すると良いでしょう。  医療費については、日本と違い健康保険がききませんが、風邪程度であれば数百円から数千円で済みます。しかし、重症になると数万円以上請求されることもありますので、できれば海外旅行傷害保険に加入することです。  以下、日本人旅行者が利用しやすい病院を紹介します。 ジャカルタ JAKARTA  (R.S=病院) ジャカルタ日本人医療相談室 (メディカロカ病院内) 日本人医師 要予約 (TEL 5201212, 511160)  住所:Kuningan Plaza South Tower 1F, Jl. H.R. Rasuna Said, Kav C-11, Jakarta-Selatan R. S. Pusat Pertamina 総合 (TEL 7200290〜6) 日本語可 平均的な病院で旅行者には適当と思われる   住所:Jl. Kyai Masa 43,  Jakarta-Selatan R. S. Cipto インドネシア大学医学部       付属中央病院 総合(TEL 330808代表) 医師のレベルは国内最高日本人看護士 衛生面では劣る  住所:Jl. Diponegoro 71, Jakarta-Pusat R. S. Pondok Indah 総合 (TEL 7502325) 設備・衛生面は最高、邦人や西洋人の利用が多い 住所:Jl. Metro Duta Kav. UE, Pondok Indah, Jakarta-Selatan R. S. Sumber Waras 総合(TEL 5682011、5605800) 整形外科が優れている。 CTの撮影や読影に優秀な医師もいる。日本語不可 住所:Jl. Kyai, Tapa, Grogol, Jakarta.    インドネシアでは頻繁に電話番号を変える場合があります。ここに記載してある電話番号も変わることが考えられますので電話帳で確認してください。 参 考 在インドネシア日本大使館: (ジャカルタ日本総領事館) Embassy of Japan,Menara Thamrin Bldg, Jl. M. H Thamrin, Kav. 3 Jakarta Pusat, Jakarta, Indonesia. TEL(62-21)324308 http://www.embjapan.or.jd/ (英・日・イン) 在デンパサール日本駐在官事務所: Branch Office in Denpasar,Consulate-General ofJapan at Surabaya, Jalan Raya Puputan, No.170 Renon, Denpasar, Bali, Indonesia. (P.O. Box 432)TEL (62-361)227628 ジャカルタ日本人会: kyline Bldg.3F,Jl.M.H.Thamrin 9,Jakarta(TEL 321708 内線 2331) JICAインドネシア事務所: Jl. M. H. Thamrin 59,Jakarta(TEL 3907533) 国際交流基金ジャカルタ日本文化センター: SumitomasTower2F, Jl. Jend. SudirmanKav. 6162, Jakarta 2 帰ってからの過ごし方  帰国して最初に受けるのは検疫です。滞在先で下痢、腹痛、発熱など体に異常があれば健康相談室で相談してください。最近では赤痢やコレラでも軽い症状で済んでしまうことが多いのですが、感染力は思ったより強いので、自分で大丈夫と思っていても家族や会社の人に感染することもありますので・・・。  また、潜伏期間といって感染してから一定の期間たたないと発病しない病気が数多くあります。検疫時は何ともなかったのに数日してから症状が出ることがあり、その時(症状が出た時)には、速やかに医師の診察を受けましょう。診察を受ける際には滞在した国と期間、蚊やノミ、ダニに刺されていたらそのことや、食べたものについても説明されると診断の役に立ちます。   帰国時に体に異常があればお気軽に検疫所へ相談してください。 厚生労働省 検疫所 2001