マ レ ー シ ア 1 感染症の流行状況  マレーシアでは、コレラ、赤痢、腸チフスや肝炎などがよくみられます。マラリア、デング熱、日本脳炎など蚊によって感染する病気も発生します。  マレーシアでは次のような病気がみられます。 食べ物・水から感染する病気 ○腸チフス、パラチフス ○A型・E型肝炎 ○コレラ、赤痢 ○食中毒 ○寄生虫疾患 虫が媒介する病気 ○マラリア ○デング熱 ○日本脳炎 ○フィラリア症 ○リーシュマニア症 その他の疾患 ○B型肝炎 ○狂犬病 ○エイズ ○破傷風    マレーシアは、赤道に近いため熱帯性気候に属しています。気候は半島部とカリマンタン島で若干の差があります。一般に9〜1月の北東モンスーンと5〜9月の南西モンスーンに分かれますが、雨量に差があるだけで気温に差はありません。  このような気候ですので、消化器系の感染症やその他の感染症の流行にも目立った差はなく、一年を通して発生している状況です。熱帯・亜熱帯地域特有の病気であるマラリアは、マレー半島やカリマンタン島の山間部に発生しています。同じように蚊によって媒介されるデング熱はマラリアとは逆に山間部には少なく、都市部に多く流行が見られます。 ◎1999年、全国の空港検疫所でマレーシアから帰国した旅行者3名から赤痢菌が検出され、食中毒菌も65名検出されています。また、2000年の感染症発生動向調査によると国内でマレーシアから帰国した旅行者から赤痢患者6名が報告されています(国立感染症研究所:感染症週報より)。 2 マレーシアでの病気の予防方法  旅行に出かけると、疲れや飲み過ぎ、食べ過ぎで知らない間に抵抗力が落ちてしまい、このような場合に病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。都市やリゾート地で観光しているだけであれば、食べ物や飲み物に注意し体調を整えておくだけで、かなり病気予防ができます。しかし、消化器系の感染症の他にも、蚊によって感染する危険な感染症も存在していますので、感染症の流行する地域に出掛ける際には注意が必要です。   そこで病気を予防する上で注意が必要な食べ物と行動を紹介します。 1. 注意したい食べ物 ◎アイスカチャン: 日本のかき氷のデラックス版。暑い時にはとびっきり美味しいのですが屋台はもちろんのこと、ホテルやレストランでも食べるのは避けてください。食中毒菌に感染する恐れがあります。 ◎生 も の: 日本と同じような感覚でマレーシアで刺身・生ガキなどを食べるのは、たとえ一流レストランや高級ホテルでも油断できません。新鮮に見えても食中毒の危険があります。実際に生のカキやウニを食べて食中毒になった人がいます。 ◎生 水・氷: マレーシアで供給される水は良質で、都市における水道の設備も整っていますが、全てが安全というわけではありません。また、やや硬水なので軟質の水に慣れた日本人では一過性の下痢を起こすことがありますので、生水は飲まないようにしましょう。地方では井戸水に頼っている所があるので飲まないほうが無難です。水が欲しい時は、ミネラルウォーターやボイルドウォーターと言って注文することです。また、氷は生水から作られることも忘れてはいけません。 ◎ドリアンとビール : 病気ではありませんが、この食べ合せをすると死ぬといわれています。実際、死に至ることはないと思いますが、かなり重症になることは現実にあるようです。 (2)注意したいこと ◎野  犬: マレーシアの都市部ではまれですが、地方では数はさほどではありませんが狂犬病ウイルスを持った犬がいますので、近付くのは避けましょう。万一、野犬などの動物にかまれたら、すぐに信頼できる病院で、狂犬病発病予防のためのワクチンを接種しましょう。 ◎夜の遊びすぎ: マレーシアでも安易なセックスは禁物です。特に『自分は大丈夫』という感覚の人が多いのですが、1度で感染する事もあることをお忘れなく。 ◎蚊に注意: マレーシアには、マラリアやデング熱と言った蚊によって感染する病気があります。マラリアは、夜に吸血するハマダラカ、デング熱は日中吸血するネッタイシマカによってそれぞれ媒介されます。蚊に刺されないことが予防方法として有効ですので、防虫スプレーや殺虫剤を使用し、肌を露出しない服装をするなどして蚊の予防を心掛けてください。 3 予防接種  旅行経路(出発国)によっては、入国時に黄熱の予防接種が要求されます。また、一般にA型肝炎、破傷風、日本脳炎、狂犬病などの予防接種が勧められます。予防接種は、これまでの予防接種歴、滞在期間、旅行形態、出発までの期間でかわりますので、詳しいことはお近くの検疫所に問い合わせてください。 4 マラリア情報( WHO INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH 2001) 奥地にのみ危険があります。サバ州を除く都市部と沿岸部地域には、危険がありません。サバ州では熱帯熱マラリアが年間を通して発生しています。予防薬としては、奥地ではクロロキン(Chloroquine)+プログアニール(Proguanil) を、サバ州ではメフロキン(Mefloquine)の服用が有効ですが服用については副作用などの注意が必要です。 クロロキン/商品名:アラレン(Aralen)、アブロクロール(Avloclor)、ニバキン(Nivaquine)、レゾシン(Resochin)など プログアニール/商品名:パルドリンなど。 メフロキン/商品名:ラリアン,メファキンなど 海外保健医療情報 1 病気になった時 (1)処置  マレ−シアでは、コレラ、赤痢、マラリア、デング熱など、日本とは異なる感染症が発生することがあります。抗生剤の乱用などの素人療法で逆に治療が遅れ、取り返しがつかなくなる危険があります。一時的に日本より持参した市販薬を使用するのは差し支えありませんが、体調に異常がある方は速やかに現地の病院を受診してください。 (2)マレ−シア国内の医療機関  医療機関が整備されており、特に技術的なレベルを心配する必要はなく、一流の病院は安心して診療を受けられます。ただし、国公立病院は料金が安いため、待ち時間が日本と同様に長く、在マレーシア邦人は私立病院へ行くケ−スが多いようです。  マレ−シアでは、通常、一般開業医の診察を経て、総合病院に紹介してもらうのが一般的ですが、直接予約する事も可能です。風邪などの軽い病気の場合はクリニック(個人開業医)を利用されると良いでしょう。  なお、日本と違い健康保険がききませんので風邪でも数千円から数万円請求されることがありますので、できれば海外旅行傷害保険に加入することです。 以下、日本人旅行者が利用しやすい病院を紹介します。 クアラルンプ−ル KUALA LUMPUR General Hospital: 国立救急総合 (TEL 292-1044) 住所:Jln. Pahang 50586.K.L. University Hospital: 国立救急総合 (TEL 756-4422) 住所:Jln. University 59100.K.L. City Medical Center: 公立総合 (TEL 221-1255) 日本語可 Tawakal Hospital: 私立救急総合 (TEL 423-3699)住所:202-A Jln, Pahang 53000 K.L. ☆Pantai Medical Center: 私立救急総合 (TEL 2852202)住所:No.8 Jln. Bukit Pantai 59100.K.L. Chinese Maternity Hospital: 私立総合(TEL 238-2055) 住所:106 Jln. Pudu 55100.K.L. ☆Japan Medicare Clinic: 私立総合(TEL 254-5233)住所:63 Jin.Bang Kung,bangsar,59100 K.L. プタリン ジャヤ PUTALING JAYA ☆Subang Jaya Medical Center: 私立救急総合 (TEL 734-1212)日本語可住所:No1.Jln.SS12/1A Subang Jaya 47500.P.J. Tawakal Hospital: 私立救急総合 (TEL 423-3699)住所:202-AJln.Pahang 53000 K.L. ☆印:邦人がよく利用する病院 参 考 在マレーシア日本大使館: Embassy of Japan,11, Pesiaran Stonor, Off Jalan Tun Razak, 50450 Kuala Lumpur, Malaysia. TEL (60-3)242-7044 http://www.embjapan.org.my/ (英・日) 在ペナン日本総領事館: Consulate-General of Japan,No.2, Biggs Road, 10350 Penang, Malaysia. TEL (60-4)2268222, 2268306, 2268416, 2268496 在コタ・キナバル日本領事館: Consulate-General of Japan,18th Floor, Wisma Perindustrian, Jalan Istiadat, Likas 88400, Kota Kinabalu, Sabah Malaysia. (P.O. BOX 11001, 88811) TEL (60-88)254169 クアラルンプ−ル 警 察・救急車 局番なし 999 ペナン 警 察・救急車 局番なし 999 コタキナバル 警 察  局番なし 999 救急車 (TEL 50555) 火 災  (TEL 55999)   2 帰ってからの過ごし方  帰国して最初に受けるのは検疫です。滞在先で下痢、腹痛、発熱など体に異常があれば健康相談室で相談してください。赤痢やコレラでも軽い症状ですんでしまうことが多いのですが、感染力は思ったより強いので、自分で大丈夫と思っていても家族や会社の人に感染することもありますので・・・・。  また、潜伏期間といって感染してから一定の期間たたないと発病しない病気が数多くあります。検疫時は何ともなかったのに数日してから症状が出ることがあり、その時(症状が出た時)には、速やかに医師の診察を受けましょう。診察を受ける際には滞在した国と期間、蚊やノミ、ダニに刺されていたらそのことや、食べたものについても説明されると診断の役に立ちます。 帰国時に体に異常があればお気軽に検疫所へ相談してください。 厚生労働省 検疫所 2001