シ ン ガ ポ ー ル 1 感染症の流行状況  シンガポールでは、食中毒や肝炎などがみられます。デング熱、日本脳炎など蚊によって感染する病気も発生します。  シンガポールでは次のような病気がみられます。 食べ物/水から感染する病気 ○A型肝炎 ○食中毒 ○寄生虫疾患 ○細菌性赤痢 ○腸チフス、パラチフス 虫が媒介する病気 ○デング熱 ○日本脳炎 その他の疾患 ○B型肝炎 ○狂犬病 ○エイズ ○破傷風    シンガポールの気候は、モンスーン気候(季節風気候)のため、年間を通して、高温・多湿です。平均気温は26℃前後、平均湿度は80%程度になっています。乾季や雨季の区別はありませが、11〜3月の東北モンスーンと5〜9月までの南西モンスーンがあり、東北モンスーンは雨多いようですが、通常、雨が少ない南西モンスーンでも時として台風並みのスコールが来ることがあります。1998年1月〜7月までにデング熱患者1,934名が報告WHOに報告されています。(WER,1998,NO.36,P275)。食中毒を主にした消化器系感染症は一年を通してあると思われます。  しかし、元来、衛生状態の良い国ですので、感染症の発生数はあまり多くありません。肝炎、エイズを含む性病も季節にかかわらず発生していますが、これも散発程度です。 ◎1999年全国の空港検疫所で、シンガポールから帰国した旅行者22名から食中毒菌が検出されています。また、2000年の感染症発生動向調査によると国内でシンガポールから帰国した旅行者から赤痢患者2名、腸チフス患者1名、A型肝炎1名が報告されています(国立感染症研究所:感染症週報より)。 2 シンガポ−ルでの病気の予防方法  旅行に出かけると、疲れや飲み過ぎ、食べ過ぎで知らない間に抵抗力が落ちてしまい、このような場合に病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。しかし、シンガポールは衛生状態が良く病気が少ない国ですので、都市やリゾート地で観光しているだけであれば、食べ物や飲み物に注意し体調を整えておくだけで、病気予防ができます。    そこで病気を予防する上で注意が必要な食べ物と行動を紹介します。 1. 危ない食べ物 ◎果 実 な ど: 市場や屋台で蠅がたかった切売りの果物は避けてください。赤痢、食中毒、寄生虫の心配があります。 ◎ボボ・チャチャ: 聞き慣れない名前ですが、サツマ芋とヤム芋の角切りにココナッツミルクをかけたデザートです。普通のレストランでは何の問題もありませんが、衛生状態の悪い屋台では要注意です。芋が悪いのか、ミルクが悪いのか分かりませんが、これで下痢をした人が報告されています。 ◎生 も の: 日本と同じような感覚で刺身、生ガキ、生ウニなどを食べるのは、たとえ一流レストラン、高級ホテルでも油断できません。新鮮でも食中毒の危険があります。日本でも食中毒が新聞などで騒がれる時期(6〜9月)がありますが、この時期の気候はまさにシンガポールの気候と同じです。このような時期に生ものを食べるのは、いくらシンガポールが綺麗でも、やはり、東南アジアですので・・・。 ◎生 水・氷: シンガポールで供給される水は良質で、都市における水道の設備も整っていますので安心して飲めますが、やや硬水なので軟質の水になれた日本人では、一過性の下痢を起こすことがありますので、生水は飲まないほうが無難でしょう。水が欲しい時はミネラルウォーターをお勧めします。 ◎ドリアンとビール: 病気ではありませんが、この食べ合せをすると死ぬといわれています。実際、死に至ることはないと思いますが、かなり重症になることは現実にあるようです。 2 注意したいこと ◎蚊 に 注 意: シンガポールでは、マラリアの危険はありませんが、デング熱が流行することがあります。デング熱は日中に吸血活動する蚊(ネッタイシマカ)によって媒介され、高熱や頭痛、発疹などの症状で発病します。予防薬やワクチンはありませんので、流行時には蚊に刺されないようにしましょう。肌を露出しない服装で防虫スプレーを使い、蚊から身を守ってください。 ◎ゴ ミ・煙 草: ご存じのようにシンガポールはゴミのポイ捨てや喫煙場所については非常に厳しい国です。現実にこれらの法律に違反して、罰金を取られた人がいます。日本人は特に注意です! 3 予防接種  旅行経路(出発国)によっては、入国時に黄熱の予防接種が要求されます。また、一般にA型肝炎、破傷風、日本脳炎、狂犬病などの予防接種が勧められます。予防接種は、これまでの予防接種歴、滞在期間、旅行形態、出発までの期間でかわりますので、詳しいことはお近くの検疫所に問い合わせてください。 4 マラリア情報( WHO INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH 2001)  ほとんどの地域で、マラリアの危険はないと考えられています。 海外保健医療情報 1 病気になった時 (1)処置  シンガポ−ルは、東南アジアにありながら非常に衛生的な国です。そのため、日本人が感染する病気は熱帯・亜熱帯地域特有の感染症であるデング熱を除けば、日本の梅雨から夏にかけて発生するものと変わりはなく、赤痢などはまれで、大部分は腸炎ビブリオなどによる食中毒です。しかし、これらの食中毒も常時、発生しているわけではありませんが、抗生剤の乱用などの素人療法で逆に治療が遅れ、取り返しがつかなくなる場合もあります。一時的に日本より持参した市販薬を使用するのは差し支えありませんが、体調に異常がある方は速やかに現地の病院を受診してください。 (2)国内の医療機関  医療機関がかなり整備されており、特に技術的なレベルを心配する必要はなく安心して診療を受けられます。しかし、シンガポ−ルに限らず、外国では診察の際には予約が必要ですし、国立や公立総合病院で診察を受ける際には個人開業医の紹介が必要となりますので注意してください。(救急の際には予約なしで診察を受けることもできます)。 また、一流のホテルでは専従の医師または医師の紹介をしてくれる場合があるので、これを利用するのも良いでしょう。   なお、日本と違い健康保険はありませんので風邪でも数千円から数万円請求されることがありますので、できれば海外旅行傷害保険に加入することをお勧めします。 以下、日本人旅行者が利用しやすい病院を紹介します。 [国立総合病院] Singapore General Hospital: 住所 Outram Rd.,Singapore 0316(TEL 2223322)救急有 Alexandra Hospital: 住所 Alexandra Rd.,Singapore 0314(TEL 473-5222)救急有 National University Hospital: 住所 Lower Kent Ridge Rd.,Singapore 0511(TEL 779-5555) [私立総合病院] Mt. Alvernia Hospital: 住所 Thomson Rd.,Singapore 1130(TEL 253-8844) Mt. Elizabeth Hospital: 住所 Mt.Elizabeth,Singapore 0923(TEL 737-2666)救急有 Gleneagles Hospital: 住所 4-6 Napier Rd.,Singapore 1025 (TEL 473-7222) Thomson Medical Centre: 住所 339 Thomson Rd.,Singapore 1130 (TEL 256-9494)   [私立病院] ☆Japan Green Clinic: 住所400 Orchard Road♯20-06 Orchard Towers Singapore 内科・外科 (TEL 734-8871 外来予約) 日本人医師 シンガポール日本人会診療所 (Japanese Association Clinic): 住所 Monut Alvernia Medical Center 820Thomson Road,Singapore 内科(TEL 65-4696488) 日本人医師 ☆OTAS(ヨーロッパ・アシスタンス) シンガポール事務所: 住所360 Orchard Road♯13-05 The Heeren, Singapore (TEL 737-4669 ) [個人病院] ☆Sugino Clinic: 住所 391 OrchardRoad,#08-10 Ngee Ann City B-8F,Singapore,0923内科・小児科・産婦人科 (TEL 2351110) 日本語可   ☆印:邦人がよく利用する病院 参 考 在シンガポ−ル日本大使館: Embassy of Japan, 16 Nassim Road, Singapore, 258390, Republic of Singapore. TEL(65)2358855 http://www.japan-emb.Org.sg/ (英・日) シンガポール政府観光局: #01-19 Raffles City Tower,250 North Bridge Rd. ( 330-0431〜2) シンガポール航空: 77 Robinson Rd. (TEL 223-8888/545-6666) 日本航空(JAL): #01-01 Hong Leong Bldg.16 Raffles Quay (TEL 221-0522) 全日空(ANA): #18-01 Robinson Road 80 (TEL 228-3288) 警 察(緊急) 局番なし 999 消 防・救急車 局番なし 995(救急車は有料;20s$) 赤十字 無料救急サ−ビス(09:00〜22:00):(TEL 3373333) 2 帰ってからの過ごし方  帰国して最初に受けるのは検疫です。滞在先で下痢、腹痛、発熱など体に異常があれば健康相談室で相談してください。最近では赤痢やコレラでも軽い症状ですんでしまうことがあるのですが、感染力は思ったより強いので、自分の判断で大丈夫と思っていても家族や会社の人に感染することもありますので・・・・。  また、潜伏期間といって感染してから一定の期間たたないと発病しない病気が数多くあります。検疫時は何ともなかったのに数日してから症状が出ることがあり、その時(症状が出た時)には、速やかに医師の診察を受けましょう。診察を受ける際には滞在した国と期間、蚊やノミ、ダニに刺されていたらそのことや、食べたものについても説明されると診断の役に立ちます。 帰国時に体に異常があればお気軽に検疫所へ相談してください。 厚生労働省 検疫所 2001