タ     イ 1 感染症の流行状況  タイでは、コレラ、赤痢、腸チフスや肝炎などがよくみられます。マラリア、デング熱、日本脳炎など蚊によって感染する病気も発生します。  タイでは次のような病気がみられます。 食べ物・水から感染する病気 ○細菌性赤痢、アメーバ赤痢 ○A型・E型肝炎 ○コレラ ○食中毒 ○寄生虫疾患 ○腸チフス、パラチフス 虫が媒介する病気 ○マラリア ○デング熱 ○日本脳炎 ○フィラリア症 ○リーシュマニア症   その他の疾患 ○B型肝炎 ○狂犬病 ○エイズ ○破傷風  タイは、熱帯地方にあるため、熱帯モンスーン気候に属し、雨季(5〜10月)と乾季(11〜4月)に分かれています。3〜5月が最も暑く、12月が涼しいと言われていますが、平均気温の差は5℃程度しかありません。そのため感染症の流行は一年を通してありますが、コレラや赤痢などの消化器系感染症については、3〜9月に比較的多く発生しています。熱帯・亜熱帯地域特有の病気であるマラリアは都市部では稀ですが、山岳地帯や国境付近にほぼ一年中流行しています。同じく、蚊が媒介するデング熱はタイ全域で発生しており、都市といえども安全ではありません。破傷風、肝炎、エイズを含む性病は季節にかかわらず発生している状況です。  この他、日本ではあまり聞かれなくなった狂犬病や寄生虫疾患も報告されています。 ◎1999年、全国の空港検疫所でタイから帰国した旅行者3名からコレラ菌、12名から赤痢菌が検出され、919名から食中毒菌が検出されております。また、2000年の感染症発生動向調査によると国内でタイから帰国した旅行者からコレラ患者6名、赤痢患者52名、三日熱マラリア患者2名、デング熱患者1名が報告されています(国立感染症研究所:感染症週報より)。  2 タイでの病気の予防方法  タイでは、都市やリゾート地の観光だけであれば、危険性があるのは食中毒などの下痢症だけなので、体調を整えておくだけでかなり病気予防ができます。旅行に出かけると、疲れや飲み過ぎ、食べ過ぎで知らない間に抵抗力が落ちてしまいます。このような場合、病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。  そこで病気を予防する上で注意が必要な食べ物と行動を紹介します。 注意したい食べ物 ◎生 野 菜: 市場や屋台で蠅がたかっているようなものは避けてください。赤痢、食中毒、寄生虫の心配があります。 ◎果実と野菜ジュース: カットされて出される果物はホテルやレストランでも避けたほうが無難です。タイ名物の水上マーケットで切売りされている果物や、ジュースは避けましょう(川の水で食器や包丁を洗うため。自分でむいた果物は大丈夫)。このジュースで赤痢に感染したと思われる人がいます。ナム・ケン・パオ(氷入り冷水)もダメ。 ◎生 も の: 日本と同じような感覚で刺身、生ガキ、生の貝などを食べるのは、例え、一流レストラン、高級ホテルであっても油断できません。新鮮に見えても食中毒やコレラの危険があります。 ◎生 水・氷: タイの大都市では水道の設備は整っていますが、水質が硬質のため軟質の水に慣れた日本人は下痢を起こすことがあります。また、病原菌や肝炎ウイルスに汚染されることがありますので生水は避けてください。地方では井戸水に頼っている所が多いので注意が必要です。水が飲みたい場合はミネラルウォーターやボイルドウォーターを注文してください。また、氷は生水から作られることが多いのでなるべく取らないこと。ウィスキーなどと一緒でも消毒効果はありません。 ◎ドリアンとビール: 病気ではありませんが、この食べ合せをすると死ぬといわれています。実際、死に至ることはないと思いますが、かなり重症になることは現実にあるようです。 * 慎みたい行動 ◎野 犬 や 猫: タイには野犬が多数おり、狂犬病も減ってきていますがまだ存在しています。むやみに犬に手をだすのは危険です。もし野犬などの動物にかまれたら、すぐに信頼できる病院で、狂犬病発病予防のためのワクチンを接種しましょう。 ◎夜の夜遊び: タイではエイズ患者が多く、1999年10月31日現在、128,606人報告されており,無防備なセックスによる感染の危険性は高いのです。また一度で感染する事もあることをお忘れなく。 3 予防接種 旅行経路(出発国)によっては、入国時に黄熱の予防接種が要求されます。また、一般にA型肝炎、破傷風、日本脳炎、狂犬病などの予防接種が勧められます。予防接種は、これまでの予防接種歴、滞在期間、旅行形態、出発までの期間でかわりますので、詳しいことはお近くの検疫所に問い合わせてください。 4 マラリア情報(WHO INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH 2001) バンコク、チェンマイ、パタヤ、プーケット、サムイなどの都市部やリゾート地には危険はありません。奥地、特に国境近くの森林丘陵地帯には年間を通して存在しています。予防薬としては、カンボジアやミャンマーの国境付近ではドキシサイクリン(Doxycycline)が、他の流行地ではメフロキン(Mefloquine)が有効ですが、いずれも服用については副作用などに注意が必要です。 メフロキン/商品名:ラリアン(Lariam)、メファキン(Mephaquin) ドキシサイクリン/商品名:ビブラマイシン(Vibramycin) 海外保健医療情報 1 病気になった時 (1)処置  タイ国内で流行している病気は地域によってことなり、山岳地域ではマラリアが蔓延しており、バンコクやプ−ケットではコレラ、赤痢、食中毒、A型肝炎、デング熱が発生しています。このように日本にない病気もあり、抗生剤の乱用などの素人療法で逆に治療が遅れ、取り返しがつかなくなる危険があります。一時的に日本より持参した市販薬を使用するのは差し支えありませんが、体調に異常がある方は速やかに現地の病院を受診してください。 (2)タイ国内の医療機関  タイの大都会での医療機関は整備されており、特に技術的なレベルを心配する必要はなく、一流の病院では安心して診療を受けられます。ただし、国公立病院は料金が安いため、待ち時間が長く、そのため、タイ在住の外国人は私立病院へ行くケ−スが多いようです。しかし、国立病院のなかには日本語を話せる看護婦がいるため邦人が比較的よく利用する病院もあります。また、一流のホテルでは専従の医師あるいは医師の紹介をしてくれる場合もありますので利用されると良いでしょう。 なお、日本と違い健康保険がききませんので外国人を対象とした私立病院では風邪でも数千円から1万数千円請求されることがありますので、できれば海外旅行傷害保険に加入したほうが良いでしょう。  以下、日本人旅行者が利用できる病院を紹介します。 バンコク [総合病院] ☆サミッティウェート病院: (国立) (TEL 3920011) 24時間受付可能 ☆バンコク・ジェネラル病院: (国立) (TEL 3180066〜69)日本語の話せる医師、看護スタッフがいる 要予約 ☆バムルンラ−ド病院: (私立) (TEL 2530250〜69)日本語可 髄膜炎予防接種可 ☆プララ−ム9病院: (TEL 2488020) 日本語可 24時間可 [個人病院] ☆クリニック ドクター ポン: 内科・小児科(TEL 235-7194〜95/237-1001) 日本語可 メルボルン クリニック耳鼻咽喉科: (TEL 251-7992 ) 日本語可 DSクリニック: 眼科・泌尿器科(TEL 259-9594 ) 日本語可 ☆ソンブ−ン診療所: 内科・小児科・産婦人科 (TEL 258-2628 ) 日本語可 パタラウェー・スキン・クリニック皮膚科: (TEL 253-3746 ) チェンマイ [総合病院] ☆ランナ病院: 住所 ス−パ−ハイウエイ通り (TEL 211037 ) マハラ病院: 住所 ステップ通り (TEL 221122 )北タイで一番大きな病院 待ち時間が長い 入院可 ☆マコ−ミック病院: 住所 ケオナワラット (TEL 241010 ) コンケン[総合病院] ☆Saint Paul's Hospital : 住所 Phimpasoot Rd. (TEL 241193/237688 ) ☆Mokul Hospital: 住所 Srichan Rd. (TEL 238934/237822 ) Harnarsa Hospital: 住所 Srichan Rd. (TEL 224667/224651 ) Som Memorial Hospital : 住所 Prachasamosorn Rd. (TEL 237173 ) プ−ケット Phuket Adventist Hospital: 住所4/1Tepkasatrir Road, (TEL 076-212386) ☆印;邦人がよく利用する病院 参 考  在タイ日本大使館: Embassy of Japan,1674,New Petchburi Road, Bangkok 10320, Thailand. TEL (66-2)252-6151 http://embjp-th.org/ (英・日・タイ) 在チェンマイ駐在官事務所: Japanese Consular Post at ChiangmaiSuite 104-107,Airport Business Park, 90 Mahidol Road,T.Haiya,A. Muang, Chiang Mai, 50100 Thailand. TEL (66-53)203367 バンコック 警 察 局番なし191,123 観光警察 (TEL 281-5051,281-0372)   救急車(TEL 281-1544, 252-2171〜5) 有料   チェンマイ 中央警察署 (TEL 221040,221444) 犯 罪  (TEL 199,241444) メ−ピン警察署 (TEL 245415) 消防署  (TEL 236193) 観光警察 (TEL 248974) 救急車  (TEL 236017) 2 帰ってからの過ごし方  帰国して最初に受けるのは検疫です。滞在先で下痢、腹痛、発熱など体に異常があれば健康相談室で相談してください。赤痢やコレラでも軽い症状ですんでしまうことがありますが、感染力は思ったより強いので、自分で大丈夫と思っていても家族や会社の人に感染することもありますので・・・・。 また、潜伏期間といって感染してから一定の期間たたないと発病しない病気が数多くあります。検疫時は何ともなかったのに数日してから症状が出ることがあり、その時(症状が出た時)には、速やかに医師の診察を受けましょう。診察を受ける際には滞在した国と期間、蚊やノミ、ダニに刺されていたらそのことや、食べたものについても説明されると診断の役に立ちます。 帰国時に体に異常があればお気軽に検疫所へ相談してください。 厚生労働省 検疫所 2001