海外感染症情報
[エ ジ プ ト]

1 感染症の流行状況  エジプトでは、次のような病気がみられます。

 食べ物・水から感染する病気
  ○腸チフス    ○A型・E型肝炎
  ○コレラ、赤痢  ○食中毒  
  ○寄生虫疾患

 その他の疾患
  ○B型肝炎    ○狂犬病
  ○エイズ

  エジプトは、ほぼ全域が砂漠気候で、雨はほとんど降りません。首都カイロは、典型的な砂漠気候で5〜10月が夏季、11〜4月がいわゆる冬にあたりますが、それ程気温の差はありません。そのため消化器系感染症の流行については、明瞭な差はあまりなく、地域や季節で若干の差(夏季にやや多い)がある程度です。アレキサンドリアは地中海に面しているため、カイロより雨が多少多い程度で、消化器系感染症の流行は変わりありません。熱帯・亜熱帯地域特有の病気であるマラリアは、内陸の一部の地域で発生していますが、他のアフリカ諸国と比べるとその発生数はわずかです。また、破傷風、肝炎、エイズを含む性病は季節にかかわらず発生している状況です。

 ◎ 1998年、全国の空港検疫所でエジプトから帰国した旅行者2名から赤痢菌、食中毒菌4名が検出されています(1997年は赤痢菌66件、食中毒40件)。また、1997年の国内の全国統計では赤痢患者117名(1996年では36名)が報告されています。

2 エジプトでの病気の予防方法
 都市やリゾート地で観光しているだけであれば特に危険はありません。通常、体調を整えておくだけで、病気予防ができるのですが、旅行に出かけると疲れや飲み過ぎ、食べ過ぎで知らない間に抵抗力が落ちてしまい、このような場合、体に病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。

  そこで病気を予防する上で注意が必要な食べ物と行動を紹介します。

(1)注意したい食べ物

  ◎サラタット・ザバー ディー:エジプトで出されるヨーグルト入りサラダです。野菜もヨーグルト
も生で、しかもヨ−グルトは病原菌が繁殖しやすく、これで下痢を起こした人がいますので要注意です。
  ◎果実など: 市場や屋台で蠅がたかった切り売りの果物は避けてください。
食中毒菌に感染する危険があります。
  ◎生もの: 日本と同じような感覚で刺身・生ガキ・生ウニなどの生ものを食べるのは、たとえ一流レストラン、高級ホテルでも安心できません。見た目が新鮮でも食中毒の危険があります。
  ◎ジュース: エジプトにはジュース屋と呼ばれる専門の屋台などがあり、絞りたてのジュースを飲ませてくれますが、不衛生な屋台ではグラスや調理用具から赤痢、食中毒、A型肝炎などに感染する恐れがあります。
  ◎生水・氷: エジプトで供給される水はナイル川の水で良質ですが、汚染されやすいので生水は避けましょう。地方では井戸水に頼っている所もあるので飲まないほうが無難です。水が欲しい時は、ミネラルウォーターやボイルドウォーターといって注文することです。また、氷は生水から作られることも忘れてはいけません。

(2)注意したい事

   ◎ 病気と関係はありませんが酒を裸のまま持ち歩いたり、酔っ払って歩いていると捕まることがあります。特にラマダン(断食月)では要注意。

3  マラリア情報 ( WHO INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH 1999)
 マラリアの危険は6月から10月の間にEl Faiyum地域で危険がわずかにあります。悪性の熱帯熱マラリアと良性の三日熱マラリアがみられます。1998年に患者報告はありませんでした。
 マラリア予防薬は、副作用の問題もありますが2週間以上の流行地滞在の方は必要かもしれません。

帰国時、又は帰国後1ヶ月以内に原因不明の発熱がある場合は検疫所にお気軽にご相談ください。