海外感染症情報
[モ ロ ッ コ]

1 感染症の流行状況  モロッコでは、次のような病気がみられます。

  食べ物・水から感染する病気
   ○腸チフス    ○A型・E型肝炎  
   ○コレラ、赤痢  ○食中毒
   ○寄生虫疾患

  その他の疾患
   ○エイズ  ○B型肝炎
   ○狂犬病

 モロッコの気候は、地中海性気候、内陸性気候、山岳性気候、砂漠性気候に分かれています。ラバト、カサブランカなどの大都市はほとんどが地中海性気候に属しており、赤痢や食中毒のような消化器系感染症は春から秋(4〜11月)に発生し、狂犬病、A型肝炎、破傷風、性病などは季節的変動がなく一年を通じて発生しています。
その他、夏期では40℃にも達しますので、熱射病や日射病にも注意が必要です。
 また、この地域では、ビルハルツ住血吸虫のような日本では聞き慣れない風土病の発生も、わずかですが報告されています。
 内陸部、山岳部及び砂漠地帯では、夏季に消化器系感染症が流行します。その他、狂犬病やA型肝炎が一年を通してわずかに発生する程度です。

  ◎ データーが少ないため参考になりませんが、1998年全国の空港検疫所でモロッコから帰国した旅行者からの病原菌の検出はありません。しかし、1997年には 2名から赤痢菌が検出されています。1997年の国内の全国統計では報告がありません。

2 モロッコでの病気の予防方法
 旅行に出かけると、どうしても疲れや飲み過ぎ、食べ過ぎで知らない間に抵抗力が落ちてしまいます。このような場合、体に病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。モロッコはアフリカに属してはいますが、それほど多くの感染症や風土病があるわけではありません。そのため、都市やリゾート地で観光しているだけであれば食べ物や飲み物に注意し、体調を整えておくだけでも、かなり病気予防ができます。

 そこで病気を予防する上で注意が必要な食べ物と行動を紹介します。

(1)注意したい食べ物

  ◎乳製品: ヨーグルトやアイスクリームなどの乳製品は細菌が発育しやすい成分が多く入っており、温度の管理が悪い不衛生な屋台やレストランなどでは、食中毒菌や赤痢菌に感染する恐れがあります。特に街頭で売られているものには要注意です。また、テトラパックの牛乳も日本と比べ、管理状態が悪いので生のまま飲むのは避けましょう。
  ◎生野菜・果実: 市場や屋台などで切り売りされ蠅がたかっているようなものは避けてください。また、サラダも要注意です。寄生虫や赤痢に感染する恐れがあります。
  ◎生もの: 日本の食習慣と同じように刺身や生の貝などの生ものを食べるのは、たとえ一流レストランや高級ホテルであっても油断できません。食中毒菌やコレラ菌などに感染する危険があります。
  ◎生水・氷: 特に病原体に汚染されていると言うことではありませんが、モロッコの水は石灰分が非常に多く、軟質の水に慣れた日本人は下痢を起こします。水が飲みたい人は、ミネラルウォーター(商品名:シディハラゼム、シディアリ、ウルメスなどが市販されています)を購入してください。

(2)注意したい事

  ◎水遊び: 河川で水泳や水遊びをすることによって寄生虫やA型肝炎に感染する恐れがあります。特にビルハルツ住血吸虫は要注意です。この寄生虫の幼虫は水中に生息し、人が水の中に入ると皮膚を食い破って侵入し(かゆみがあるが痛みはない)、最初は血尿のような症状を起こしますが、その後は、肝機能障害を起す非常に怖い寄生虫です。
  ◎野犬: 日本と違い、まだ狂犬病ウイルスを持った犬がいますので、よだれを流している犬には近寄らないようにしましょう。

3  マラリア情報 ( WHO INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH 1999 )
 マラリアの中では比較的良性な三日熱マラリアのみで、5〜10月にALHoceima, Chefchaouen, Khouribga, Taounate 地域で特定の非都市部でのみみられ、感染の危険性は低いです。

帰国時、又は帰国後1ヶ月以内に原因不明の発熱がある場合は検疫所にお気軽にご相談ください。