海外感染症情報



バ ヌ ア ツ


1 感染症の流行状況
 バヌアツでは、細菌性赤痢、腸チフス、食中毒などの消化器系感染症、肝炎、マラリア、デング熱などが発生しています。
 バヌアツで感染のおそれのある病気は、次のとおりです。

食べ物・水から感染する病気

虫が媒介する病気

その他の疾患

食中毒

マラリア

B型肝炎

細菌性赤痢

デング熱

破傷風

アメ−バ赤痢

 

エイズ

腸チフス、パラチフス

 

 

A型肝炎

 

 

寄生虫疾患

 

 


 バヌアツは、海洋性の熱帯・亜熱帯性気候に属していますが、島国なので、気候はハワイに似ています。11〜4月は雨季で気温が高く、雨量も多いのが特徴で、強い西風が吹き、サイクロン(台風)も度々来襲するため農作物などに甚大な被害をもたらします。逆に5〜10月の乾季は、平均気温24程度、降雨量も80100 _と最も過ごしやすい気候となっています。このような気候ですが、腸チフス、赤痢、食中毒をはじめとする消化器系の疾患が、わずかに報告されています。しかし、蚊によって媒介されるマラリアやデング熱は年間を通して流行し、1998年1月〜7月までにデング熱患者45名WHOに報告されています。(WER,1998,NO.36,P275)また、フィラリア症(糸状虫症)や経口で感染するA型肝炎なども発生していますので注意が必要です。

 
2 バヌアツでの病気予防方法
 旅行に出かけるとどうしても疲れや飲み過ぎ、食べ過ぎで知らない間に抵抗力が落ちてしまいます。このような場合、体に病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。しかし、消化器系の感染症だけではなく、A型肝炎でも食べ物や水に注意し、体調を整えておくだけで、かなり病気予防が出来ます。
 バヌアツでは、アジア地域やアフリカ地域のように多くの消化器系感染症などが蔓延している状況ではありませんので、特に注意を要することは多くはありませんが、病気を予防する上で注意が必要な食べ物と行動を紹介します。
(1)注意したい食べ物

生   水:

バヌアツの水道水は水質が良く、病原菌に汚染されていることもありませんが、石灰分が多く、硬質の水に慣れていない日本人は一過性の下痢を起こすことがよくありますので、胃腸の弱い人は煮沸して石灰分を除去してから飲むと良いでしょう。ミネラルウォ−タ−などは入手可能です。

食   品:

特に何が悪いと言うことはなく、刺身なども食べることができる程、新鮮な魚介類がありますが、高温・多湿であるため食品が傷みやすく、不衛生な取り扱いをしているレストラン・屋台などで飲食するとまれに食中毒菌などに感染することがあります。


(2)注意したいこと

虫に注意:

バヌアツには、マラリアとデング熱の流行が報告されています。マラリアは、夕方から明け方までの間に活動(吸血)するハマダラカによって媒介され、デング熱は日中に活動するネッタイシマカやヒトスジシマカによって媒介されます。マラリアは、流行が少ない地域であれば防虫スプレーや肌を露出しない服装あるいは蚊帳などによって、ある程度防ぐことができますが、流行の多い地域に2週間以上滞在する場合には、予防薬の服用が勧められています。しかし、予防薬には副作用の問題もありますので服用に際しては十分な注意が必要となります。腎臓や肝臓に障害がある人は、事前に医師に相談しましょう。デング熱については予防薬やワクチンがありませんので、蚊を防ぐことしか予防方法はありません。また、フィラリア症(犬ではなく人の病気)も蚊によって媒介される寄生虫疾患で、治療が遅れると重度の後遺症が出ますので、やはり蚊には注意すると共に防虫スプレーなどの用意を忘れないでください。


3 予防接種
 入国時に要求される予防接種はありませんが、地方への旅行や長期滞在の場合には、一般にA型肝炎、破傷風などの予防接種が勧められます。予防接種は、これまでの予防接種歴、滞在期間、旅行形態、出発までの期間でかわりますので、詳しいことはお近くの検疫所に問い合わせてください。

4 マラリア情報 WHO INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH 2001

 悪性の熱帯熱マラリアが主です。感染の危険性は低から中程度で、年間を通し、全土に存在しています。クロロキン(Chloroquine)に強い耐性を示す熱帯熱マラリアや、スルファドキシン−ピリメタミン(sulfadoxine-pyrimethamine)耐性熱帯熱マラリアが報告されています。また、クロロキン(Chloroquine)耐性三日熱マラリアも報告されています。予防薬としては、クロロキン(Chloroquine)+プログアニ−ル(Proguanil)の服用が有効ですが服用については、副作用などに注意が必要です。


 クロロキン/商品名: アラレン(Aralen)、アブロクロール(Avloclor)、ニバキン(Nivaquine)、レゾシン(Resochin)など
プログアニール /商品名: パルドリン(Paludrine)など。

 

 


 

海外保健医療情報

1 病気になった時
(1)処置
 バヌアツの気候は海洋性の亜熱帯性気候に属し、大まかに分けると、11〜4月が気温が高く雨も多い雨季にあたり、5〜10月は南東の貿易風が吹く乾季になりますが、海洋のためハワイと同じように過ごしやすい気候となっています。 なお、11〜4月の雨季には強い西風やサイクロンによる暴風雨があり、農作物などに重大な被害をもたらすことがあります。このような気候のため、バヌアツで感染する恐れがあるのは赤痢、腸チフス、食中毒などの消化器系感染症とウイルス性肝炎ですが、発生数は多くありません。しかし、熱帯・亜熱帯地域に特有な感染症であるマラリアとデング熱は、バヌアツに多く発生しているため、『蚊』には十分な注意が必要です。 マラリアやデング熱と言った風土病があるため、日本にいる時と同じような感覚で考えないで病気にかかったときやこれはおかしいといった時には速やかに現地の病院を受診してください。症状が激しい時、一時的に日本より持参した市販薬を使用するのは差支えないのですが、自己診断によって薬で抑え込むような素人療法は逆に治療が遅れ、取り返しがつかなくなる場合もあるので危険です。特に、抗生物質の乱用は効果のない場合、かえって悪化することがあるので慎むべきでしょう。
(2)バヌアツの医療機関 
全般にバヌアツの医療レベルは高くなく、旅行者が利用できる医療機関も限られています。首都ポート・ビラにあるセントラル・ホスピタルが唯一の総合病院となっています。一般の内科や外科であれば問題ありませんが、複雑な手術や重症例であれば、この国で対応することは不可能であるため、オーストラリアやニュージーランドなど近隣の医療先進国に移送しなければなりません。この場合、移送費は自己負担となりますので、できれば海外旅行傷害保険に加入したほうが良いでしょう。 医療費については詳細は不明ですが、国立病院では比較的安く、個人の開業医では若干高くなるようです。また、医薬品は医薬分業になっているため、一般的な薬は購入することができますが、抗生物質、解熱剤、鎮痛剤などは医師の処方箋が必要となります。

 以下、バヌアツ(ポート・ビラ)で日本人旅行者が利用しやすい病院を紹介します。
 
 
[総合病院]

セントラル・ホスピタル

総合診療 救急病院 入院可
設備、技術とも国内最高の医療機関
TEL 2-2100


[個人開業医]

ドクター・フィンバーグ

一般内科
TEL 22826

ドクター ・ バドール

一般内科
TEL 23065

ドクター ・ スプナー

一般内科
TEL 23380

キャビネット・デンタル

歯科
TEL 22306

デンタル センタ−  

歯科
TEL 22604


参 考
 バヌアツには日本大使館がないため近隣の大使館に連絡。

在フィジー日本大使館:
(兼轄)

Embassy of Japan,
2nd Floor, Dominion House,
1 Suva, Fiji. (G.P.O. Box 13045)
TEL (679)304633


 
 
2 帰ってからの過ごし方
 帰国して最初に受けるのは検疫です。滞在先で下痢、腹痛、発熱など体に異常があれば健康相談室で相談してください。赤痢やコレラでも比較的軽い症状で済んでしまうことがありますが、感染力は思ったより強いので、自分で大丈夫と思っていても家族や会社の人に感染することもありますので・・・・。
 また、潜伏期間といって感染してから一定の期間たたないと発病しない病気が数多くあります。検疫時は何ともなかったのに数日してから症状が出ることがあり、症状が出た時には、速やかに医師の診察を受けましょう。診察を受ける際には滞在した国と期間、蚊やノミ、ダニに刺されていたらそのことや、食べたものについても説明されると診断の役に立ちます。
 

帰国時に体に異常があればお気軽に検疫所へ相談してください。
厚生労働省 検疫所 2001