海外感染症情報




キ リ バ ス


1 感染症の流行状況
 キリバスで発生する感染症は、細菌性赤痢、食中毒などの消化器系感染症、A型肝炎、デング熱などが報告されています。
 キリバスで感染のおそれのある病気は、次のとおりです。

食べ物・水から感染する病気

虫が媒介する病気

その他の疾患

食中毒

デング熱

B型肝炎

細菌性赤痢

 

破傷風

アメ−バ赤痢

 

寄生虫疾患

A型肝炎

 

エイズ

腸チフス、パラチフス

 

 

 

 
 キリバスは海洋性の亜熱帯性気候で、気温は26〜32で年間を通じて変化は大きくありません。年間の降雨量は地域によって差が大きく、最も降雨量の少ないクリスマス島で700_、最も多いワシントン島の4,000_まで様々です。首都タラワでは150_程度の雨が降ります。平均の湿度も海洋ですので70%前後と変化は大きくありません。このような気候ですが、発生する感染症は比較的少なく、赤痢、食中毒をはじめとする消化器系の疾患がわずかに報告される程度です。
 また、蚊によって媒介されるデング熱やフィラリア症(犬ではなく人の病気)あるいは経口で感染するA型肝炎なども年間を通じて発生しますが、これらの発生数も多くありません。

◎1999年、全国の空港検疫所でキリバスから帰国した旅行者からの病原菌の検出はありません。また、2000年の感染症発生動向調査によるとキリバスで感染した報告はありません(国立感染症研究所:感染症週報より)。


2 キリバスでの病気予防方法
 旅行に出かけるとどうしても疲れや飲み過ぎ、食べ過ぎで知らない間に抵抗力が落ちてしまいます。このような場合、体に病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。消化器系の感染症だけではなく、A型肝炎などは食べ物や水に注意し、体調を整えておくだけでも、かなり病気の予防ができます。
キリバスでは消化器系の感染症は多くないのでアジア地域やアフリカ地域のように、特に注意が必要なことはありませんが、病気を予防する上で注意が必要な食べ物と行動を紹介します。
 
(1)注意したい食べ物

生  水:

キリバスの水道水は雨水を溜めて使用しています。そのため、病原菌に汚染されることがあり、石灰分も多いため、硬質の水に慣れていない日本人は必ず下痢をします。胃腸の弱い人などは煮沸して飲むようにする必要があります。また、水道は時間給水となっており、常時使用できません(ホテルなどは自家水槽を使用しているところもあります)。ミネラルウォ−タ−は一般的ではなく、入手が難しいようです。

食  品:

特に何が悪いと言う事はありませんが、高温・多湿であるため、食品が傷みやすく、不衛生な取り扱いをしているレストラン・屋台などでの飲食は避けましょう。食中毒菌などに感染する恐れがあります。


 
(2)注意したいこと

虫に注意:

キリバスは、日中に活動するネッタイシマカやヒトスジシマカによって媒介されるデング熱の流行地域です。デング熱は、ウイルス性の感染症で、主症状は持続する3840℃の発熱だけで、この他にはこれと言った症状は現れませんし、治療も特に必要なものはなく、放置しても1週間程度で自然と治癒してしまいます。しかし、まれにデング出血熱(DHF) と言われる出血傾向を伴う重症疾患が現れることがあります。何故、出血熱になるか原因は明かになっていませんが、出血熱になった場合、10〜20%が死亡するとの報告もあります。また、フィラリア症(犬ではなく人の病気)も蚊によって媒介される寄生虫疾患で、治療が遅れると重度の後遺症が出ますので、やはり蚊には注意すると共に防虫スプレーなどの用意を忘れないようにしてください。


 
3 予防接種
 旅行経路(出発国)によっては、入国時に黄熱の予防接種が要求されます。また、地方への旅行や長期滞在の場合には、一般にA型肝炎、破傷風などの予防接種が勧められます。予防接種は、これまでの予防接種歴、滞在期間、旅行形態、出発までの期間でかわりますので、詳しいことはお近くの検疫所に問い合わせてください。
 
4 マラリア情報 WHO INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH 2001
 特にマラリアの心配はありません。

 


 

海外保健医療情報

1 病気になった時
(1)処置
 キリバスの気候は海洋性の亜熱帯性気候に属しており、気温は年間を通して、26〜32で変化は大きくありません。年間の降雨量は島々によって差がありますが、首都タラワでは年間1,500 _程度の雨が降ります。 このような気候のため、キリバスで感染する恐れがあるのは赤痢、食中毒などの消化器系感染症とA型肝炎ですが、発生数は多くありません。
 しかし、熱帯・亜熱帯地域に特有な感染症であるデング熱が発生していますので、『蚊』には十分な注意が必要です。 病気が少ないからといって、日本にいる時と同じような感覚で考えないで病気にかかったときや、これはおかしいといった時には速やかに現地の病院を受診してください。症状が激しい時、一時的に日本より持参した市販薬を使用するのは差支えないのですが、自己診断によって薬で抑え込むような素人療法は逆に治療が遅れ、取返しがつかなくなる場合もあるので危険です。特に、抗生物質の乱用は効果のない場合、かえって悪化することがあるので慎むべきでしょう。
(2)キリバスの医療機関
医療レベルや設備は高くありませんが、内科的な疾患や簡単な外科的処置であれば問題ありません。旅行者が比較的安心して利用できる総合病院は首都に1つしかありませんが、その他の島でも、応急処置的な治療ができる診療所が所々にあります。しかし、複雑な手術や重症例であれば、この国で対応することは不可能であるため、オーストラリア、ニュージーランド、ハワイあるいは日本などに移送しなければなりません。この場合、移送費は自己負担となりますので、できれば海外旅行傷害保険に加入したほうが良いでしょう。医療費については国立病院では比較的安いようですが、詳細については不明です。 また、医薬品は医薬分業ですので、一般的な薬はかなり安く(無料との情報もあります)購入することができますが、抗生物質などは医師の処方箋が必要となります。
 ただし、目的の薬が常時あるとは限りませんので、常備薬程度は日本から持参することをお勧めします。
 
 以下、キリバス(首都タラワ)で日本人旅行者が利用しやすい病院を紹介します。
[ 総合病院 ]

Tungaru Central Hospital

総合診療    救急病院 入院可
設備、技術とも国内最高の医療機関
1日当たりの入院費は、一般病棟は無料、
個室は10オーストラリア・ドル(食事付)
TEL 2-8081


 上記の他、各島や地区に診療所が点在しており、わずかな医薬品とドクターと称する人がおり、簡単な治療であれば可能です。
参 考
 キリバスには日本大使館がないため近隣の大使館に連絡。

在フィジー日本大使館
(兼轄)

Embassy of Japan,2nd Floor, Dominion House,1 Suva, Fiji.
(G.P.O. Box 13045)
TEL (679)304633


 
2 帰ってからの過ごし方
 帰国して最初に受けるのは検疫です。滞在先で下痢、腹痛、発熱など体に異常があれば健康相談室で相談してください。赤痢やコレラでも比較的軽い症状で済んでしまうことがありますが、感染力は思ったより強いので、自分で大丈夫と思っていても家族や会社の人に感染することもありますので・・・・。 また、潜伏期間といって感染してから一定の期間たたないと発病しない病気が数多くあります。検疫時は何ともなかったのに数日してから症状が出ることがあり、症状が出た時には、速やかに医師の診察を受けましょう。診察を受ける際には滞在した国と期間、蚊やノミ、ダニに刺されていたらそのことや、食べたものについても説明されると診断の役に立ちます。

帰国時に体に異常があればお気軽に検疫所へ相談してください。
厚生労働省 検疫所 2001