海外感染症情報




1 感染症の流行状況
ミクロネシアで流行する感染症は赤痢、腸チフスなどの感染症は少なく、主に、腸炎ビブリオやサルモネラなどの食中毒、A型肝炎、デング熱などが発生しています。
ミクロネシアで感染のおそれのある病気は、おおむね次のとおりです。

消化器系疾患

その他の疾患

食中毒

B型肝炎

細菌性赤痢

エイズ

A型肝炎

破傷風

コレラ

デング熱

寄生虫疾患

 

腸チフス、パラチフス

 

 

 ミクロネシアは、熱帯性気候で、一年を通して気温は24〜30と高く、雨量が多く、多湿です。東にあるコスラエ州、ポンペイ州は、西側のトラック州、ヤップ州に比べると雨量が多いようです。このような気候ですので食中毒などの消化器系疾患やA型肝炎などの感染症が、1年中発生しています。その他、注意を要する疾患としてデング熱、破傷風および性病があります。デング熱はネッタイシマカやヒトスジシマカという蚊によって媒介される熱帯地域特有の感染症です。これらの蚊は高温多湿といった気候条件下で多く発生するために、ミクロネシアの全ての島々でデング熱の流行が見られます。
 破傷風や性病の流行も季節に関係なく1年中見られます。破傷風は傷口から侵入する土壌細菌で神経症状を起こし、死亡することもある怖い病気です。性病は、ご承知のとおり、性的接触によって感染します。

2 ミクロネシアでの病気予防方法
 旅行に出かけるとどうしても疲れや飲み過ぎ、食べ過ぎで知らない間に抵抗力が落ちてしまいます。ましてミクロネシアは暑さのきびしい国ですので特にこの傾向は強いようです。このような場合、体に病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。ミクロネシアにはそれ程多くの感染症があるわけではありませんが、デング熱は蚊を防ぐことで予防可能ですし、食中毒などの消化器系の感染症やA型肝炎などは食べ物や水に注意し、体調を整えておくだけでも、かなり病気予防ができます。
 そこで病気を予防する上で注意が必要な食べ物と行動を紹介します。
(1)注意したい食べ物

乳 製 品:

衛生状態はあまり悪くありませんが、不衛生な屋台などでの飲食は避けた方が良いでしょう。アイスクリ−ムをはじめとする乳製品は細菌が発育しやすい成分が多く含まれており、温度管理が悪いと病原菌が急激に増加してしまいます。このような乳製品を食べると赤痢、腸チフス、食中毒菌などに感染する恐れがあります。

生   水:

 水道の設備は一応整っていますが、水質が悪く飲用には適していません。島では安全な水を飲むために雨水を溜め煮沸して飲料水を作っていますが、一般の旅行者であればミネラルウォ−タ−をお勧めします。

生野菜など:

生野菜、特にレタスやキャベツは、寄生虫や害虫の幼虫などが多いので避けてください。衛生状態の良いレストランやホテルであれば安心でしょう。

生 も の:

まわりはすべて海なので海産物は非常に豊富ですが、衛生状態の悪い屋台やレストランでは避けてください。日本と同じように食中毒菌、運が悪ければ赤痢や腸チフスに感染することがあります。

 

(2)注意したいこと

蚊に注意:

デング熱は、ウイルスを持った蚊に吸血されることで感染します。この蚊はマラリアを媒介する蚊と逆で日中(特に明け方)に活動しますので、デング熱に感染する恐れは、昼間が一番のようです。夜であれば蚊帳や蚊取り線香で蚊の防御はできますが、日中ではそうはいきません。また、この病気は予防接種もマラリアのような予防薬もありません。流行する地域に出かける際には虫に吸血されない服装をしたり、防虫スプレ−などの用意をお忘れなく。

 

3 予防接種
 入国時に要求される予防接種はありませんが、地方への旅行や長期滞在の場合には、一般にA型肝炎、破傷風などの予防接種が勧められます。予防接種は、これまでの予防接種歴、滞在期間、旅行形態、出発までの期間でかわりますので、詳しいことはお近くの検疫所に問い合わせてください。

4 マラリア情報 WHO INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH 2001
 特にマラリアの心配はありません。
 

 


 


海外保健医療情報

1 病気になった時
(1)処置
 ミクロネシアは比較的衛生状態が良いため、赤痢やコレラなどの感染症は少なく、腸炎ビブリオやサルモネラなどの食中毒やA型肝炎が主です。この他、熱帯地域に属しているため、デング熱の発生が報告されていますが、熱帯特有のマラリア発生の報告はありません。しかし、感染症の流行が少ないからと言って油断は禁物です。病気にかかった時やこれはおかしいと思った時には日本にいる時と同じような感覚で考えないで現地の病院などを受診してください。症状が激しい時、一時的に日本より持参した市販薬を使用するのは差支えないでしょう。自己診断によって薬で抑え込むような素人療法は、逆に治療が遅れ、取り返しがつかなくなる場合もあるので危険です。特に抗生物質の乱用は効果のない場合、かえって悪化することがあるので慎むべきです。
(2)国内の医療機関
 医療機関は二ヵ所しかなく、その設備は比較的良いと思われますが、高度あるいは特殊な技術を要する手術ができるほど医療レベルは高くありませんが、感染症を含む一般的な病気であれば問題ないと思われます。 医療制度は医薬分業に近い形になっていますが、基本的には日本と同じで医師の診察をうけた後に病院内の薬局で薬をもらいます。ミクロネシアには薬局がなく、病院の薬局が唯一の薬局になります。しかし、正露丸、頭痛薬、胃腸薬などの一般市販薬程度は、ブル−・ラグ−ン・ストア−で売られています。 通常、病院を受診する際には原則として予約が必要ですが、救急の際には予約なしで診察を受けられます。 なお、日本と違い健康保険制度はありませんので風邪でも数千円から数万円、請求されることがありますので、できれば海外旅行傷害保険に加入することをお勧めします。

  以下、ミクロネシアで利用しやすい病院を紹介します。

[総合病院]

Pohnpei State Hospital(ポンペイ州立病院)

診療科目:

眼科・耳鼻咽喉科を除く全科診療

住  所:

ポンペイ州 コロニア(Colonia)

電  話:

320-2212(外来) 320-2213(救急)

他:

24時間体制 緊急可 入院可

 

Yap Memorial Hospital(ヤップ記念病院) 

診療科目:

内科・外科など(眼科・耳鼻咽喉科を除く)

住  所:

ヤップ州 コロニア(Colonia)

電  話:

3448

他:

24時間体制 緊急可 入院可


 
参 考

在ミクロネシア日本大使館

Embassy of Japan,“Pami Building”3rd Floor,
Koloinia, Pohnpei, F.S.M. 96941.
TEL (691)320-5465


 
 
 
2 帰ってからの過ごし方
 帰国して最初に受けるのは検疫です。滞在先で下痢、腹痛、発熱など体に異常があれば健康相談室で相談してください。最近では赤痢やコレラでも軽い症状で済んでしまうことがあるのですが、感染力は思ったより強いので、自分の判断で大丈夫と思っていても家族や会社の人に感染することもありますので・・・・。
 また、潜伏期間といって感染してから一定の期間たたないと発病しない病気が数多くあります。検疫時は何ともなかったのに数日してから症状が出ることがあり、症状が出た時には、速やかに医師の診察を受けましょう。診察を受ける際には滞在した国と期間、蚊やノミ、ダニに刺されていたらそのことや、食べたものについても説明されると診断の役に立ちます。

帰国時に体に異常があればお気軽に検疫所へ相談してください。
厚生労働省 検疫所 2001