海外感染症情報

パプアニューギニア


1 感染症の流行状況
 パプアニュ−ギニアで流行する感染症は非常に多く、赤痢、腸チフスなどの感染症や腸炎ビブリオやサルモネラなどの食中毒、A型肝炎、マラリア、デング熱などが発生しています。 
また、パプアニューギニアで感染のおそれのある病気は、おおむね次のとおりです。

食べ物・水から感染する病気

虫が媒介する病気

その他の疾患

食中毒

マラリア

B型肝炎

細菌性赤痢

デング熱

破傷風

アメ−バー赤痢

 

エイズ

A型肝炎

 

結核

ランブル鞭毛虫

 

 

寄生虫疾患

 

 

腸チフス、パラチフス

 

 



 パプアニュ−ギニアの気候は、首都ポ−トモレスビ−、ニュ−ギニア島の中央部を除き熱帯雨林性気候に属し、12〜4月が雨季にあたり、5〜11月が雨の少ない乾季となります。ポ−トモレスビ−は熱帯サバンナ気候に属し、12〜4月が雨季、5〜11月が乾季となりますが、雨季でも雨は少なく、比較的過ごしやすい気候となっています。このような気候ですので赤痢、腸チフス、食中毒などの消化器系疾患やA型肝炎などの感染症は、1年中発生しており、特に12〜4月に非常に多く流行しますので注意する必要があります。その他、注意を要する重要な感染症としてマラリアとデング熱があります。マラリアとデング熱はどちらも蚊によって媒介される熱帯・亜熱帯地域特有の感染症ですが、病原体、媒介する蚊の種類、症状などが異なります。
 マラリアは、夜中に活動(吸血)するハマダラカによって感染します。デング熱は、昼間に活動(吸血)するネッタイシマカやヒトスジシマカという蚊によって媒介される感染症です。どちらの蚊も雨季に多く発生するために12〜4月に特に流行が多いようです。(もちろん、5〜11月にも発生します)

 
2 パプアニュ−ギニアでの病気予防方法
 旅行に出かけるとどうしても疲れや飲み過ぎ、食べ過ぎで知らない間に抵抗力が落ちてしまいます。特にパプアニュ−ギニアは暑さがきびしいので、この傾向は強いようです。このような場合、体に病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。パプアニュ−ギニアには、多くの感染症がありますが、消化器系の感染症やA型肝炎などは食べ物や水に注意し、体調を整えておくだけでも、かなり病気予防ができます。マラリアやデング熱も蚊さえ防げれば感染することはありません。
 そこで病気を予防する上で注意が必要な食べ物と行動を紹介します。
(1)注意したい食べ物

乳 製 品:

国全体が衛生観念に乏しいので、不衛生な屋台やレストランなどでの飲食は避けた方が良いでしょう。アイスクリ−ムをはじめとする乳製品は細菌が発育しやすい成分が多く含まれており、温度管理が悪いと病原菌が急激に増加してしまいます。このような乳製品を食べると赤痢、食中毒菌などに感染する恐れがあります。

生   水:

ポ−トモレスビ−では一応水道の設備があり比較的安全ですが、汚染される場合も多いのでミネラルウォ−タ−やボイルドウォ−タ−を飲むことをお勧めします。その他の地域では安全な水はありません。

生 も の:

まわりはすべて海なので海産物は非常に豊富ですが、衛生状態の悪い店や屋台では生ものを食べるのは避けてください。特に雨季は危険性が高くなり、赤痢、食中毒菌に感染する恐れがあります。


(2)注意したいこと

蚊に注意:

マラリアやデング熱は、病原体を持った蚊に吸血されることで感染します。マラリアを媒介する蚊とデング熱を媒介する蚊とでは、活動(吸血)時間帯が異なり、それぞれ夜間と日中にわかれ、結局1日中、感染の危険があるわけです。マラリアは、予防薬を服用することで予防ができますが、デング熱は、薬も予防接種もありません。そのため流行する地域に出掛ける際には、虫に吸血されない服装をしたり、防虫スプレ−や蚊取り線香などのご用意をお忘れなく。この他にもフィラリア(寄生虫;糸状虫症)も蚊によって媒介されます。

裸足は禁物:

裸足で歩くと破傷風や鉤虫症などに感染する恐れがあります。破傷風は小さな傷口から、鉤虫症などは皮膚を食い破って侵入します。


 3 予防接種
 旅行経路によっては、1歳以上のすべての人に黄熱の予防接種が要求されます。また、地方への旅行や長期滞在の場合には、一般にA型肝炎、破傷風などの予防接種が勧められます。予防接種は、これまでの予防接種歴、滞在期間、旅行形態、出発までの期間でかわりますので、詳しいことはお近くの検疫所に問い合わせてください。

 4 マラリア情報 WHO INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH 2001

標高1,800 m以下の全土に年間を通して病原性の強い熱帯熱マラリアが存在しています。クロロキン(Chloroquine)などの予防薬が効かない熱帯熱マラリアや三日熱マラリアの報告もあり、予防薬としてはメフロキン(Mefloquine)の服用が有効ですが、服用については副作用などに注意が必要です。
 メフロキン/商品名:ラリアン(Lariam)、メファキン(Mephaquin)など。

 




海外保健医療情報

1 病気になった時
(1)処置
 パプアニュ−ギニアは、熱帯雨林性気候に属しているため、流行する病気は日本とは全く異なり、赤痢、腸チフスの他、マラリアやデング熱などの熱帯・亜熱帯地域特有の感染症があります。そのため、日本にいる時と同じような感覚で考えないで病気にかかったときやこれはおかしいと思った時には速やかに現地の病院を受診してください。症状が激しい時、一時的に日本より持参した市販薬を使用するのは差支えないでしょう。自己診断によって薬で抑え込むような素人療法は逆に治療が遅れ、取り返しがつかなくなる場合もあるので危険です。特に、抗生物質の乱用は効果のない場合、かえって悪化する場合がありますので慎むべきでしょう。
(2)パプアニュ−ギニア国内の医療機関
パプアニュ−ギニア国内には、各州ごとに国公立の病院が必ず設置されていますが、国公立の総合病院といえど、その医療レベルは満足できるものではありません。医療設備も他のアジア諸国と同様で私立の病院、診療所の方が設備は良いようです。 日本人旅行者が受診できる病院は、首都ポ−トモレスビ−の個人開業医しかないと思われます。これらの病院(クリニック)は設備、医療レベルとも国内では高く、比較的安心して受診できますが、手術が必要な病気や複雑な病気では対応できませんので、日本に帰国するか、オ−ストラリアに移送する必要があります。この場合の移送費は、本人の負担になります。また、医薬品の購入は、医薬分業ですので原則として医師の処方箋が必要ですが、現実にはたいていの薬は処方箋なしで購入できます。ただし、管理があまり良くないので信頼できる大きな薬局で購入することをお勧めします。 なお、医療費は比較的安いと言われていますが、日本と違い健康保険制度がないために外国人を対象とした私立病院では風邪でも数千円、より複雑な病気であれば1万円以上要求されることがあり、海外に緊急移送することもあり得るため、できれば海外旅行傷害保険に加入したほうが良いでしょう。
  以下、日本人旅行者が利用しやすい病院を紹介します。[個人病院・診療所]

Port Moresby General Hospital

マラリア検査ができる。
住所; Taurama Road
TEL 3248200

Jacobi Medical Center(Dr.Jacobi)

総合診療 24時間体制 オ−ストラリア人医師 航空会社顧問医師
住所;Reke St,Boroko Johnston Pharmacyの裏 TEL 3255355

Port Moresby Medical Service
(Dr. S.Webb)

総合診療 24時間体制 オ−ストラリア人医師 入院可
住所; Reke Street, Boroko.
TEL 3256633

ERA Medical Center Dr. Sharp

総合診療 フィリピン人女医
住所; Johnston, Pharmacy (Boroko)の裏
TEL 3254244

Dental ClinicDr. Jalal R.Mills

歯科 オ−ストラリア人歯科医
住所;Dr. Jacobiの上の階にある。
TEL 3259692

Dr. Korimbo

眼科 パプアニュ−ギニア人医師
住所;Garden City( JICA Officeのあるビル )
TEL 3256433

Pom Medical Laboratory

住所:P.O.Box 6103,Boroko
TEL 325
5344


参 考

在パプアニューギニア日本大使館

Embassy of Japan,
1st & 2nd Floor, Cuthbertson House,
Cuthbertson St. Port Moresby
NCD, Papua New Guinea.
TEL (675)321-1800, 321-1483, 321-1305


緊急連絡

警察・救急車・消防共通

局番なし 000


 
2 帰ってからの過ごし方
 帰国して最初に受けるのは検疫です。滞在先で下痢、腹痛、発熱など体に異常があれば健康相談室で相談してください。赤痢やコレラでも軽い症状で済んでしまうことがありますが、感染力は思ったより強いので、自分で大丈夫と思っていても家族や会社の人に感染することもありますので・・・・。
 また、潜伏期間といって感染してから一定の期間たたないと発病しない病気が数多くあります。検疫時は何ともなかったのに数日してから症状が出ることがあり、症状が出た時には、速やかに医師の診察を受けましょう。診察を受ける際には滞在した国と期間、蚊やノミ、ダニに刺されていたらそのことや、食べたものについても説明されると診断の役に立ちます。
 

帰国時に体に異常があればお気軽に検疫所へ相談してください。
厚生労働省 検疫所 2001