海外感染症情報





1 感染症の流行状況
 パラオで発生する感染症は、赤痢、食中毒などの消化器系感染症、A型肝炎などの他、デング熱なども報告されています。
 パラオで感染のおそれのある病気は、次のとおりです。

食べ物・水から感染する病気

虫が媒介する病気

その他の疾患

食中毒

デング熱

B型肝炎

細菌性赤痢

 

破傷風

腸チフス、パラチフス

 

エイズ

A型肝炎

 

 

寄生虫疾患

 

 

 

 パラオは海洋性の熱帯性気候に属しており、大きく乾季と雨季に分かれ、年間の平均気温は25〜27で、1年を通してほとんど変化は見られません。乾季は12〜6月、雨季は7〜11月となりますが、雨季といっても一時的に大雨が降るスコールで、長時間降り続けるわけではありません。また、この時期にはサイクロン(台風)も度々来襲するため農作物などに甚大な被害をもたらします。このような気候ですが、発生する感染症は少なく、赤痢、食中毒をはじめとする消化器系の疾患が、発生する程度です。しかし、蚊によって媒介されるウイルス性感染症であるデング熱が年間を通して発生しており、注意が必要です。
 

◎1999年、全国の空港検疫所でパラオ共和国から帰国した旅行者からの病原菌の検出報告はありません。また、2000年の感染症発生動向調査によるとパラオ共和国で感染した報告はありません(国立感染症研究所:感染症週報より)。


 
2 パラオでの病気予防方法
 旅行に出かけるとどうしても疲れや飲み過ぎ、食べ過ぎで知らない間に抵抗力が落ちてしまいます。このような場合、体に病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。しかし、消化器系の感染症だけではなく、A型肝炎でも食べ物や水に注意し、体調を整えておくだけで、かなり病気予防ができます。
 
 
パラオでは、アジア地域やアフリカ地域のように消化器系感染症などが蔓延している状況ではありませんので特に注意が必要なことはありませんが、デング熱などが発生することがあります。
そこで病気を予防する上で注意が必要な食べ物と行動を紹介します。
 
(1)注意したい食べ物

生   水:

パラオの水道水は濁っていることが多く、また、病原菌に汚染されることもありますので飲用には適していません。現地の人は、雨水を溜めた天水を利用しています。天水を飲む場合でも煮沸してから飲むことをお勧めします。ミネラルウォ−タ−は入手可能です。

食   品:

特に何が悪いということはなく、刺身なども食べることができる程、新鮮な魚介類がありますが、高温・多湿であるため食品が傷みやすく、不衛生な取り扱いをしているレストラン・屋台などで飲食するとまれに食中毒菌などに感染することがあります。


(2)注意したいこと

虫に注意:

 パラオにはデング熱と呼ばれるウイルス性の感染症が報告されています。これは、日中に活動(吸血)するネッタイシマカやヒトスジシマカによって媒介されます。症状は1週間程度持続する発熱(38〜40)があるだけで、特に治療を行わなくても自然に治ってしまう場合が多いようです。しかし、わずかにデング出血熱と呼ばれる粘膜などからの出血を伴う重症疾患が現れます。これは死亡する事もある怖い病気です。何故、このような重症になるか不明ですが、大人より子供に多く発生するようです。デング熱には予防薬もワクチンもありませんが、防虫スプレーや肌を露出しない服装などによって、ある程度防ぐことができますので、蚊の多い地域には、防虫スプレーなどの用意を忘れずにしてください。


 
3 予防接種
 旅行経路(出発国)によっては、入国時に黄熱の予防接種が要求されます。また、地方への旅行や長期滞在の場合には、一般にA型肝炎、破傷風などの予防接種が勧められます。予防接種は、これまでの予防接種歴、滞在期間、旅行形態、出発までの期間でかわりますので、詳しいことはお近くの検疫所に問い合わせてください。
 
4 マラリア情報 WHO INTERNATIONAL TRAVEL AND HEALTH 2001
 特にマラリアの心配はありません。




海外保健医療情報

 
1 病気になった時
(1)処置
 パラオの気候は、海洋熱帯性気候に属し、乾季(12〜6月)と雨季(7〜11月)に分かれ、年間の平均気温は25〜27で1年を通してほとんど変化はありません。雨季にはスコールがあるものの長時間降り続くことはありませんが、この時期には度々台風が来襲し、重大な損害が生じることがあります。このような気候のため、パラオで感染する恐れがあるのは赤痢、腸チフス、食中毒などの消化器系感染症とウイルス性肝炎ですが発生は少ないようです。また、熱帯・亜熱帯地域に特有な感染症であるデング熱の報告がありますので『蚊』には注意してください。
なお、熱帯病であるマラリアの発生は、パラオでは報告されていません。病気が少ないからといって、日本にいる時と同じような感覚で考えないで病気にかかったときや、これはおかしいと思った時には速やかに現地の病院を受診してください。症状が激しい時、一時的に日本より持参した市販薬を使用するのは差支えないでしょう。自己診断によって薬で抑え込むような素人療法は逆に治療が遅れ、取返しがつかなくなる場合もあるので危険です。特に、抗生物質の乱用は効果のない場合、かえって悪化することがあるので慎むべきでしょう。
(2)パラオの医療機関 
パラオには医療機関は少なく、医療レベルや設備も高くありません。内科的な治療や簡単な手術は可能ですが、高度な治療を要する疾患については対応できません。重症なケ−スや緊急手術を要する疾病ではグアム、フィリピンあるいは日本で治療や手術を行わなくてはなりません。この場合、移送費は自己負担となりますので、できれば海外旅行傷害保険に加入したほうが良いでしょう。 医療費については情報不足のため不明な点が多いのですが、国立・公立病院では、おおむね安いようです。薬品の購入は医薬分業となっているため、原則として医師の処方箋が必要となっていますが、実際にはドラッグ・ストアーなどで抗生物質を除いたほとんどの薬が処方箋なしで購入できるようです。また、日本の胃腸薬なども店頭に並ぶことがあるようです。

  以下、パラオで日本人旅行者が利用しやすい病院を紹介します。

[ 総合病院 ]

国立マクドナルド・メモリアル病院

総合診療 救急病院
唯一の総合病院ですが、現地の人の利用も少ないとの情報があります。
TEL
不明


[クリニック・個人開業医]

一般内科・外 科
TEL
不明

セブンティーアドベンティスト・クリニック

歯  科・眼 科
TEL
不明


 
 
参 考

在パラオ大使館

Embassy of Japan,Palau Pacific Resort, Arakebesang,Koror, Republic of Palau 96940.
TEL (680)488-6455, 488-6456


 
2 帰ってからの過ごし方
 帰国して一番最初に受けるのは検疫です。もし、滞在先で下痢、腹痛、発熱など体に異常があれば健康相談室で相談してください。赤痢やコレラでも軽い症状で済んでしまうことがありますが、感染力は思ったより強いので、自分で大丈夫と思っていても家族や会社の人に感染することもありますので・・・・。
 また、潜伏期間といって感染してから一定の期間たたないと発病しない病気が数多くあります。検疫時は何ともなかったのに数日してから症状が出ることがあり、症状が出た時には、速やかに医師の診察を受けましょう。診察を受ける際には滞在した期間と、蚊やノミ、ダニに刺されていたらそのことや、食べたものについても説明されると診断の役に立ちます。
 
 

帰国時に体に異常があればお気軽に検疫所へ相談してください。
厚生労働省 検疫所 2001