[オーストラリア、ニュージーランドへ旅行される方へ]

 オーストラリアやニュージーランドは、コレラ、ペスト、黄熱の発生もなく、衛生的な地域で、感染症の危険も日本と同程度であまり高くありません。ただ、風土病も報告されており、流行時には旅行者の方にも影響がありますので、注意が必要です。

一般旅行者から報告されることのある感染症
食中毒(サルモネラ、腸炎ビブリオ、セレウス、ウエルシュによるものが多い)

その他の感染症(まれに局地的な発生が報告される感染症)
マルタ熱、Q熱、クインズランドマダニチフス、マレーバレー脳炎、デング熱(ケアンズおよびその周辺)、寄生虫疾患(エキノコッカス症、フィラリア症)

  ◎ 1998年の全国の空港検疫所で、オセアニアから帰国した旅行者1名から食中毒菌が検出されています。また、1997年の国内の全国統計ではオセアニア地域で感染した赤痢患者2名、アメーバ赤痢患者2名が報告されています。

 以下、オセアニア地域へ旅行される場合の注意事項を紹介します。

★気候に注意
 オセアニア地域は広大であるため、地域によって若干の違いがありますが、おおむね、日本とは同じ気候で四季がありますが、南半球のため夏と冬が逆になります。暑い時期に赤痢や食中毒などが起きるのは日本と同様です。また地域によってQ熱、マルタ熱、エキノコッカス症、フィラリア症などが一年を通して発生し、蚊によって媒介されるデング熱やマレーバレー脳炎、ダニによって媒介されるクインズランドマダニチフスは春から秋にかけて発生がみられます。
 また、日差しが強く、日焼けには注意が必要です。北部、中部では日射病や熱中症などによる被害もあります。子どもはとくに注意が必要です。

★体調が一番 プラス予防知識
 様々な感染症や風土病がありますが、都市やリゾート地の観光程度であれば体調を整えておくだけでも、かなりの病気が予防できます。旅行に出かけると、どうしても飲み過ぎ、食べ過ぎ、旅の疲れなどで気付かない間に抵抗力が落ちてしまいがちです。このような場合、体に病原体が入ると簡単に病気になってしまいます。そこで感染症にかかりやすい『食べ物』について説明します。

◎刺身・寿司: ほとんどの所では問題ありませんが、食中毒などは感染する危険があります。
◎生水・氷: ほとんどの所では、問題はありませんが、一部の地方では、日本と違い硬質の水であることから、一過性の下痢を起こすこともあります。胃腸の弱い人は、なま水は避けミネラルウォーターを飲むと良いでしょう。
◎乳肉製品: 一般の旅行者に影響するほど発生は多くありませんが、まれに牛乳や肉によってQ熱やマルタ熱あるいはエキノコッカス症が発生することがあります。特に注意する必要はありませんが、オセアニアでもこのような病気があることを忘れないでください。

★注意したいこと
◎虫にご用心: 蚊によって媒介されるデング熱やマレーバレー脳炎はオーストラリアの一部地域に発生します。また、ダニに吸血されることで感染するクインズランドマダニチフスもオーストラリアのクインズランド州で発生がみられます。昆虫はこのように、色々な感染症を媒介しますので、虫は要注意です。
◎コウモリに近寄らない: コウモリの一部が狂犬病類似のウイルスを保持していることが報告されています。
◎サンゴやクラゲに注意: 刺される方も多いようです。ひどい場合は現地で医師に相談しましょう。

★エイズ
 オセアニアでもエイズの増加は問題になっています。WHOの推計によると、オーストラリア・ニュージーランドでは成人の0.1%がHIVに感染しています。不特定の相手との性交渉や、麻薬・覚醒剤の使用などが主な感染原因になっています。

★予防接種
 短期間の都市部、リゾート地のみの滞在では、旅行のための予防接種の必要性は高くありません。地方での長期滞在の場合には、一般に破傷風などの予防接種が勧められます。

 楽しい旅行を満喫するためにも旅先での水や食物などに注意する必要があります。旅先で、お腹の調子が悪いとか、下痢が続くような時には、現地の医師に相談してください。

 オセアニア地域の国々の情報は、作成されておりませんので、項目別情報を参考にしてください。

項目別情報
オセアニアの医療機関、医療機関会話集(英語)、衛生害虫、エイズ、寄生虫、水に注意、旅行者下痢症、航空性中耳炎、携帯医薬品

帰国時に体に異常があればお気軽に健康相談室で相談してください。