[犬の健康管理のためのアドバイス]
[感染症について]
愛犬が病気にならないようにどんなに気をつけていても、生活環境が原因で避けられない場合があります。例えば、お散歩中に伝染病の野犬の嘔吐物などに接触したり、草むらに入ってノミやダニの寄生を受けたりなど。
 また、家庭内にも蚊は入ってきますから、蚊が媒体する犬フィラリア症感染の危険性は室内犬といえども避けられません。
 家族の一員である愛犬をいろいろな病気から守るためには、飼い主として何が出来るのか、それによってどんな病気を妨げるのかについて主なものを以下に記しました。

−ワクチンで予防できる病気−
混合ワクチンで予防できる病気
生まれた年は3〜4週間間隔を置いて2〜3回接種します。次の年にもう一回接種します。その後は年一回の接種が推奨されています。

症状としては;発熱・嘔吐・血便など

 犬ジステンバー;
 犬伝染性肝炎(イヌデンセンカンエン);
 犬ヘルペスウィルス感染症
 犬パルボウィルス感染症
 犬コロナウィルス感染症
 犬レプトスピラ病

狂犬病ワクチン
毎年の接種が法律で義務づけられています。

−駆虫剤を飲んで、感染している寄生虫を駆除する病気−
 寄生虫が消化管内に感染していても症状(下痢・嘔吐)が出ない場合もありますが、その場合も便の中には寄生虫卵が排泄されていることがあります。愛犬が感染源となることを防ぐことも公衆衛生上大切なことですので、定期的に検便を受け、必要に応じて駆虫しましょう。

症状としては下痢・嘔吐・血便・食欲不振・瘠せるなど

[消化管内寄生]
 犬回虫症(イヌカイチュウショウ)
 犬小回虫症(イヌショウカイチュウショウ)
 犬鈎虫症(イヌコウチュウショウ)
 犬鞭虫症(イヌベンチュウショウ)
 瓜実条虫症(ウリザネジョウチュウショウ)
 マンソン裂頭条虫症(マンソンレットウジョウチュウショウ)
 壷形吸虫症(ツボガタキュウチュウショウ)
 コクシジウム症
 腸トリコモナス症
 ジアルジア症

−予防薬(殺虫剤)を飲んで寄生虫感染を防ぐ病気−
フィラリア症(心臓内寄生)その年の一回目の投薬は蚊が出てきてから一ヵ月後です。年によって蚊の出てくる時期がずれるので、家の周りにいつ蚊がでてきたか気をつけていましょう。その年最後の投薬は蚊がいなくなってから一ヵ月後です。

症状としては咳・貧血・卒倒・喀血(かっけつ;肺から出血して吐く。)肝硬変(お腹が膨れる。)など

−殺虫剤(注射、外用)を使って感染している寄生虫を駆除する病気−
 皮膚、外耳道に寄生する寄生虫病は痒みを伴ったり、脱毛したりすることが多く、愛犬のみならず、飼い主にとっても辛いものです。掻き壊して出血や炎症を起こしているときは抗生物質、消炎剤などを併用します。

症状としては脱毛・痒みなど

−皮膚寄生−
 ノミ感染症
 ヒゼンダニ感染症
 犬ニキビダニ感染症
 ツメダニ感染症
 犬ジラミ感染症
 犬ハジラミ感染症
 マダニ感染症

−外耳道内寄生 -
 ミミヒゼンダニ感染症

−抗生物質、抗菌剤を使って、感染している菌を駆除する病気−
 結膜炎、外耳炎、鼻炎、口内炎、肺炎、胃腸炎、膀胱炎、皮膚炎など。病気の原因、症状さまざまです。

 症状としては食欲不振、びっこをひく、目やに、耳が臭う、下痢、嘔吐など

[食餌について]
 健康な身体を作るのは、口からはいった食べ物です。病気にならなければ何を与えられてもいいわけですが、好きなものだけ食べさせていると栄養のバランスが乱れて、皮膚病や内臓の不調などが起こります。
 かわいい、かわいいといって甘やかし、好きなものだけ食べさせることが愛情表現のすべてではありません。「他に楽しみが無いだろうから。」と、いって『いつでも何でも好きなだけ食べさせる』と、いうのも同様です。犬は食べ物が欲しいのではなく、飼い主との触れ合いを求めているのです。

−食餌は栄養分のバランスの良いものを与える−
 水だから、よく食べるからといって栄養バランスの偏ったフードを与え続けると、その時はよくても数年後に体調を崩すことになりかねません。愛犬の成長度合い、運動量を考慮してフードを選ぶことが大切です。
 人間と同じものを与える場合には、栄養だけでなく食材にも気をつけましょう。たまねぎ、長ネギ、ニラ、ニンニクなどはナまでも加熱しても決して与えてはいけません。含まれている成分が酸素を運ぶ赤血球の膜を壊してしまい貧血を起こします。肉じゃが、牛丼、すきやき、焼肉など愛犬に危険な料理が、いろいろあります。

−参考−
・成犬の場合
たんぱく質23%
脂肪8%
これを目安として極度にたんぱく質や脂肪分が多いものは長期間与えるときは太りすぎなどに気をつけねばなりません。もし、これを続けると皮膚病などになりやすくなります。

−食餌の回数について−
 子犬は胃腸の働きが未熟なので一度にたくさん食べられません。
また、子犬のえさはたんぱく質や脂肪分が成犬のものよりも高くなります。
専用のものが製品化されていますので利用すると良いでしょう。
一日量を3〜4回に分けて与えます。成長に合わせて一回量を増やし、回数を減らします。
 成犬になったら一日1〜2回にしますが、大型犬は胃拡張や胃捻転の予防のために一日2回のほうが良いようです。
 老年期になったら胃腸の働きが低下してきますので、子犬の頃の様に1日3〜4回にしてやります。

−食餌量に気を配る−
 犬が人間に飼われるようになって数万年になりますが、身体そのものはあまり変化していません。野生のオオカミ同様に、一度に大量に食べられるようになっています。オオカミは満腹になったら3,4日は狩をせずに過ごします。飼い犬の場合は毎日食餌を与えられているので、食べ過ぎになっている場合があります。食べすぎは肥満、ホルモンバランスの異常、内臓の不調など病気を起こす原因となります。
 成長度合い、運動量を考慮しつつ決められた食餌量を与えましょう。

−おやつについて−
 いろいろな「おやつ」が市販されています。バランスのよいフードを愛犬の状態に合わせて適量食べさせている場合は「おやつ」は必要ありません。
 ただ「しつけ」をする場合に「おやつ」を使うことが有ります。この場合フードと同様、栄養バランスのよいものを使うようにしましょう。ただ「おやつ」として与えた分、フードを少し減らさないと肥満になりますので注意してください。
 どうしても「おねだり」が激しく、何もやらないではいられない、という場合は、食卓上の人と同じものを与えるのは避け犬用の「おやつ」を少量化スティック状に切った野菜(人参、キャベツ、きゅうりなど)を与えるようにしましょう。野菜はカロリーが低く、繊維が多く胃腸にもよい「おやつ」です。
生でも加熱してでもOKです。
 人から何かを貰ったということで犬は満足なのです。

ジャーキー;   与えすぎると皮膚病・外耳炎・肝臓病になります。
(乾燥ささみ肉など)基本的には与える必要は無いです。

ほねっこ;消化が悪いため与えすぎると胃炎になります。
     一週間に一本、あるいは長さ1cmぐらいに小さく切って、訓練時のご褒美に少しあげるくらいで留めましょう。

どうしても何かを与えたい場合には、出来れば野菜で代用した方が望ましいです。ただし、イモ類・果物は肥満の原因になりますので避けてください。野菜は生でもゆでてもどちらでも良いです。

☆ ☆ どんなに健康管理に気を配っていても、病気になることは生き物である以上避けられないことかもしれません。
また、生活環境が複雑になり、思わぬ事故(人の薬の誤飲や農薬の摂取など)が起きたりします。危険なものは飼い主が気を付けてやりましょう。
 高齢になるにつれて、だんだんと身体の機能が落ちてきます。これは自然の摂理に合わせて対応することで、最後まで生活を共にしていくことが出来ます。

[からだの手入れについて]
 目、耳、口、爪、被毛、肛門嚢などの手入れをしてやりましょう。はじめは嫌がるかもしれませんが、しつけを兼ねて、ほめながら綺麗にしてやると、飼い主との信頼関係も深まります。

−目、耳の手入れ−
 黒い目やにが少し目頭にたまるのは病気ではありません。そっと取り除いてやるだけで大丈夫です。
 目が大きい犬種は涙が目頭からこぼれて毛が茶色になってしまう場合があります。ある程度は仕方ないものですが、状態のひどい時は涙点(目頭の内側にあいている涙の通り道)が狭かったり、詰まっていたり、下まぶたが巻き込んでいたりということもありますので、相談してください。
 耳はつきに一度くらいの割合で覗いてみて、綺麗であれば何もしません。
ほこりなどで汚れていたらウェットティッシュなどでそっと拭き取ってやります。
 臭ったり、黒いものがたくさん詰まっていたり、また痒がったりしている時は診察を受けましょう。
 
- 被毛の手入れ -
 短毛の場合には週に1〜2回のブラッシングで充分です。ただし、春の毛の生え換わりのときは、冬毛がばさっと抜けますので、毎日のブラッシングが必要になります。長い毛の場合は毎日ブラッシングをしないと、毛玉が出来てしまいます。
 シャンプーを自分でする時は、まずブラッシングを充分にしてから、毛を濡らします。毛がもつれたままでシャンプーをすると毛玉になってしまいます。
また、耳の中に脱脂綿か、ティッシュペーパーを詰めます。これは外耳炎の予防のためです。動物用のシャンプーで洗い、シャワーでよく洗い流します。この時、結膜炎予防のため、目もよくすすいでください。あとは、すっかり乾くまでタオルやドライヤーを使って根気よく乾かします。生乾きは皮膚病の原因になりますので注意しましょう。
 どんなにきれい好きなワンちゃんでも、全身のシャンプーは月に2回までにして下さい。皮膚の脂肪分を落としすぎると皮膚病になってしまいます。

- 口の中 -
 普段は口の中を見ることは無いと思いますが、しつけを兼ねて口の中を見させるようにしておくと良いでしょう。歯石がつかないように歯磨きをしてやることができます。
 またこれは、薬をのませるような場合も簡単です。

- 爪の手入れ -
 外にいて、よく動いている場合は適度に磨り減っていることが多く、何もする必要はありません。ただ、前足の第一指の爪は地面に接することがないので伸びすぎて皮膚に食い込む場合があります。このような時と室内飼育の時は、定期的に爪切りが必要になります。
 爪をよく見ると、爪の中に血管が伸びてきているのがわかります。(白い爪の場合。黒い爪ではみえない)。血管を切らないように気をつけて切ってやります。
 伸ばしたままにしておくと、中の血管も伸びてきて、爪を短く切ることができなくなりますので注意しましょう。

- 肛門嚢について -
 犬の肛門の脇には、臭いにおいを出す肛門嚢という袋があります。普通は排便時に便と一緒に出てきますが、何かのきっかけで、詰まってしまうことがあります。そうなると、お尻を床に擦るような姿勢をとったり歩き方がぎこちなくなったりします。早く気付いて絞り出してやればよいのです。
 放っておくと袋がパンパンになって痛がりますし、化膿して破裂することもあります。

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