「救命」は、他人事ではありませんよ!

家族の「尊い生命!」、自分たちで守ろう!
<一度でいいから読んで下さい!>

  数年前から、「応急手当の住民普及」「救急隊・救急救命士等の救急業務体制」「救急病院収容体制」などの生命に関する記事が、テレビ・新聞等に取り上げられて、色々と騒がれてきました。

  そのお陰で、救急救命士制度が平成3年8月15日から施行され、翌年には救急救命士1名が高岡消防に誕生しました。
 それに伴って高岡市においては、2次総合病院の受け入れ体制もより以上に整備されました。
 また、2次総合病院の医師・看護婦と病院研修等を通じて面識も随分深まったように思います。

 高岡市消防では、十数年前から心肺蘇生法等の応急手当を住民に浸透させるため、住民普及に力を入れて実施してきました。しかし、当時の受講状況は、「役員だから!」とか「つき合いで!」という理由による参加が大変を占め、おのずと受講人員はとても少なかったのが現状です。

 その理由として、まず揚げられるのが、「まさか、我が家において・・・」とか、「そんなに大切なこと?」など、自分の身にふりかかっていないことや、そのような場面を見たり体験したことがないから、一般の方々は「他人事のように思っている」のだと私は思います。
  実際には、救急現場において、大変残念なケースが多く見受けられ、そのごく一部を紹介します。

例えば、
 @ 妻の目の前で、50歳代のご主人が急に胸の苦しみを訴えたのち意識を失うように倒れ、すぐに「119番」通報したが、救急隊が到着するまでの約6〜7分間に応急手当は全く行われておらず、救命できなかったあケース。
 A 70歳代の老人が家族とお餅を食べていたところ、急に顔色が真っ白になった後、意識を失って倒れ込んだため、即座に「119番」通報した。
  これも、救急隊が到着するまでの7〜8分の間には、やはり何ら応急手当が行われていなかったために、やはり救命できなかった。
 B 20歳の女性が喘息発作を起こし、急速に病状が悪化して、「119番」通報してから数分後、顔色は真っ青、身体はぐったりして、その呼吸は停止してしまったらしい。
 救急隊が到着するまでの約8分間には、やはり何も応急手当は施されていなかったため、救命できなかった。
 C 6ケ月の赤ちゃんにミルクを飲ませた後、母親が用事のため目を離していた。
  戻ってみると、赤ちゃんの口腔内にはミルク様の吐物が溜っており、急いで「119番」通報したとのことだが、発見が遅かったことと、なにも応急手当が行われていなかった。
 救急隊の救急隊到着時点では、口腔内の吐物はそのまま溜っており、吐物をかき出した後、吸引して除去したが、呼吸は停止しており、救急隊や医師処置で一命だけは取り留めたが、意識は一度も戻らず4ケ月後に亡くなった。

 これらの他にも、多くの残念なケースを経験しています。
 私どものように、このようなケースを1度でも体験すれば、心肺蘇生法などの応急手当の重要性を認識していただけるのであろうと思います。
 ほんの一部ではありますが、応急手当に関する「無知」がとても残念なケースを招くことを紹介しました。
  あなたも、最愛の夫・奥さんや子供さんが目の前で急に倒れたことを想像して、その時に自分がどのような手当てをどのくらいできるかを考えてみて下さい。
 そうすれば、応急手当の重要性がおのずとわかっていただけると思います。
 我々、救急隊・救急救命士や救命センターの医師が、どれだけ頑張っても、その場にいる「あなた」が応急手当を施さない限り救命は望めません。

 我々のいう「救命」とは、社会復帰して、家族と元通りの生活をしていただくことです。
 この救命には、「4つの輪」がなければ絶対に達成しえません。
 その輪とは、
  @ 「適切な早期通報」
  A 「心肺蘇生法・止血などの1次救命処置」
  B 「救急救命士の救命処置」
  C 「医師による救命治療」
 です。
 このいずれの輪が欠けても、救命できないといっても過言ではないでしょう。

 次に倒れるのは、あなたの家族かもしれません。
 一生に一度、この応急手当を使うか使わないかわかりませんが、一度家族ぐるみでこの事について話合って、一度でいいですから救命講習会に参加して下さい。
 「あの時、受講しておけば!」と、あとから悔やんでも、家族の「尊い生命」は帰ってきませんよ・・・ 


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