1 善玉コレステロールと悪玉コレステロール

1992年2月1日号(No.101)に掲載

「鉄5gと綿5gとどちらが重い?」
うっかり鉄の方が重いと答えてしまいそうになりますが、どちらも5gなら重さは同じですね。鉄の方が重いと言ってしまいそうになるのは、比重が大きいからです。鉄5gといのは丁度、パチンコの玉と大きさです。これが綿5gとなるとその10倍以上の大きさに成ります。

私たちが食事から取った脂肪分は、血液の中ではリポ蛋白として移動しています。このリポ蛋白には、様々な比重(density)のものがあります。つまり重さは同程度でも大きさの異なるリポ蛋白が血管の中を流れているのです。

比重の小さいものをLDL〜低比重リポ蛋白:Low density lipoprotein
比重の大きいものをHDL〜高比重リポ蛋白:How density lipoprotein
と呼んでいます。

これら大きさの異なるリポ蛋白が血管の中を流れる場合、どちらが流れやすいでしょうか? もちろん小さなリポ蛋白の方です。大きな方は、狭い血管が通りにくいに決まっています。そればかりでなく、血管自体が凸凹(でこぼこ)してきます。これが動脈硬化です。

血管の内側が凸凹してくると血液は凝集反応(血が固まること)を開始します。血管収縮、フィブリンの形成、さらには血小板が付着して血栓が出来る可能性があります。血栓は、血液の流れを止め、心筋梗塞や脳梗塞を起こします。

血清脂肪のうち、低比重リポ蛋白(LDL)が悪玉コレステロールと呼ばれているのは、実は。重さの割に体積が大きいからなのです。これに反し体積の小さい高比重リポ蛋白(HDL)は善玉コレステロールと呼ばれています。1998年追記

最近の研究では、LDLそのものが悪いわけではなく、LDLが酸化したもの(酸化LDL)が要因であることが分かって来ました。すなわち、LDLを酸化するのは活性酸素だといわれています。今赤ワインに含まれるポリフェノールがこの活性酸素を抑えるということで大人気になっています。

関連項目:レセプター8:「LDLレセプター」、インテグリン阻害剤

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