2 胃潰瘍
1992年2月15日号(No.102)
「胃袋は食べたものを何でも溶かしてしまうのに、どうして自分の胃袋は溶かさないのだろう?」こんな疑問を持たれた事はないでしょうか。
「人間の胃袋は消化されないように出来ているから」ですって!!?
例えば人食い人種が人間の胃袋を食べたとしたら、食べられた胃袋は消化されてしまいますよ!!
答えは簡単! 生きている人間は、自分で自分の胃袋を消化してしまわないように、胃の中でバリヤー(防御膜)を這っているからです。このバリヤーは、胃粘膜であり、そしてプロスタグランジンであることが分かったのは最近のことです。(執筆当時)
胃潰瘍(消化性潰瘍)は、「自分で自分の胃を溶かしてしまう病気」と言うことが出来ます。胃潰瘍の患者さんはストレスなどによって、胃酸が出過ぎるか、胃の中のバリアー機構が弱ってきていると考えられます。それで自分で自分の胃を消化してしまうのです。(1998年注:この当時はHP:ヘリコバクタピロリノ知識は持ち合わせていなかったのです。今では、胃潰瘍はHPによる日和見感染ではないかと筆者は思っています。)
所で話は変わりますが、アスピリンを代表とする消炎鎮痛剤(NSAIDs)の作用点は炎症性物質であるプロスタグランジンの生合成の抑制です。
ですから、これらの消炎鎮痛剤を服用すると、胃でのプロスタグランジンの働きも抑えられて、胃潰瘍になる可能性があります。(内服のみならず、坐薬や注射剤でも同じですよ。)
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