3 膜安定化作用

1989年4月15日号(No.41)に掲載したものです。
(やさしい薬理学シリーズの記念すべき第1作です。)

不整脈の治療剤の添付文書などを読むと、その薬理作用として「膜安定化作用による」などと書かれていますが、これはいったいどういうことかご存知ですか?

教科書的にいえば、「心臓の刺激伝導系細胞の活動電位0相を好転させることで、別の表現にすれば「膜反応の低下、すなわち細胞間のインパルスの伝導速度の低下」ということなのですが、これで理解できる人は何人いるのでしょうか?

ところで、この作用を持つ役にはどんなものがあるか考えてみましょう。なんとなく分かってきますよ。プロカイン、リドカイン(キシロカイン)など○○○カインの薬がそれで、局所麻酔剤として使われていますね。ですから膜安定化作用とは局所麻酔作用と関係があると考えられます。

不整脈は、正規の場所以外で発生した刺激に心臓が敏感に反応してしまうことによって起こると考えられます。ですからそこを麻酔してしまうと余計な刺激がきても反応しなくなるのです。

リスモダンなどの抗不整脈剤でもこのような麻酔作用がありますから、水なしで飲むと、食道壁にくっついて溶けると、そこが局所麻酔されて不快感をあたえることになりますので注意が必要です。

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