13 "a,d,m,e" 〜私の作文技法〜
1993年11月15日号(No.141)に掲載
私は、薬学部卒なので作文は全く素人です。でもこのような短文を書く際にはいつも基本とされる「起・承・転・結」を意識して書いています。ところでこの起承転結は薬動力学(pharmacokinetics)に似ていると思うんです。
起:文章の書き始めです。読者の意表をつくと読む気にさせます。
a:absorption〜薬を飲むとまず体内に吸収されます。
承:書き始めを受けて本題に入っていきます。
d:distribution〜体内に入った薬は体内のあちこちに分布していきます。
転:そろそろ中だるみしてきたので話題に変化をつけます。
m:metabolism〜体内を一回りしてきた薬を外に出しやすいように変化させます。
結:話の締めくくりです。出来たら「おち(落)」を付けましょう。
e:excrtion〜役目を終えた薬は、尿を中心に排泄されます。
このように"a,d,m,e"は、薬の体内での働きを追跡する言葉なのです。
吸収、分布、排泄に関しては特に説明を必要無いでしょう。
肝心なのは、"代謝"です。
代謝とは、例えば、水に溶けにくい薬品を溶けやすくしておしっこにして出すというように、排泄しやすいように形を変えることを言います。その役目を主に引き受けているのが「体内の化学工場」といわれている肝臓です。そして排泄の重要器官である腎臓へと送られます。
ですから肝臓、腎臓が「肝腎」なのです。(←落ちのつもり。)
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